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杉並区議会〜秋の乱〜

皆様、こんにちは。こんばんは。
杉並区議会議員の小林ゆみです。

まだまだ暑い日が続きますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
本日は杉並区議会の様子をお伝えできればと思い、noteの記事を書いております。

9月11日(月)、令和5年杉並区議会第3回定例会が開かれました。
今年4月の改選後、2度目の大きな議会となります。
決算委員会を含む所謂「秋の議会」は、2〜3月に開かれて予算委員会を含む「春の議会」とともに、年4回ある定例会の中でも開催期間が長く、杉並区の予・決算を決める(決算の場合は、認定/不認定)という意味で重要性の高い議会です。
11日は、この大事な大事な議会が始まった日でした。

この日、傍聴席のうちマスコミ席(傍聴席の端)に、フジテレビの大きなカメラで議会を撮影している若い女性が来ていました。
議会での審議内容を撮影するのかと思いきや、いざ議会が開会しても、区長や議員が登壇して答弁や質問をしても、カメラは前面を向きません。
16時過ぎに議会が終わるまで、ずっとこちら(保守系議員達が座る席)を向いているのです。
彼女と彼女の所属するテレビ局にとっては、議会の審議内容などどうでも良いのです。
「保守系議員の居眠りの瞬間をキャッチしてやる!」という意地と執念を感じました。
勿論、議会中に居眠りすることは良くないことで問題視されても仕方がありませんが、政治についてマスコミがもっと取り上げるべきことが他にあるのではないでしょうか。

尚、現在の杉並区の議長(井口かづ子氏)は、前回テレビ局が同様に議場を撮影しに来た際、当時は議長ではなく議員の席(議席)におり、そこで5日間連続で居眠りしていたため、番組に自宅前で突撃取材をされています。(井口氏が議会中に常に居眠りしていたこと自体は、本当に良くないことだと思います。)
井口氏は現在、無所属を自称しておりますが、当時は自民党の議員であったため集中的に攻撃されたのでしょう。

そして、あろうことか議会初日の途中、議員達が座る議席から数メートル上のマスコミ席から議席に向かって小型カメラが落ちてきて、議員のすぐ近くに落下しました。
幸い、議員には当たりませんでしたが、もし頭に当たっていたら大怪我をしていたかもしれません。
保守系議員の方へばかりカメラを向けて居眠りの瞬間を撮ろうと血眼になったり、議席に向かってカメラを落としたり…彼女は一体、神聖な議会に何をしに来たのでしょうか。
一議員として憤りを感じます。

そして9月12日(火)の杉並区議会は、なんと岸本聡子区長が議会に遅刻することから始まりました。
杉並区議会の本会議は、朝10時から始まることが殆んどです。
私は約8年半、杉並区議会議員として議席を頂いておりますが、少なくともその間は前任者(田中良 元杉並区長)を含め、杉並区長が議会の本会議に遅刻するということは当然ながら一度もありませんでした。
議席から「気が緩んでいるんじゃないのか?」と野次が飛びましたが、私もその通りだと思います。
そもそも議会は区長が招集しているため、この日は招集した側がその場に居ないという事態が発生してしまったのです。
今後は区長、遅刻しないと良いですね…。

議会が始まる前、議場にて。
(隣の席の矢口やすゆき議員を真似して、
議場で自分で撮ってみました。)

さて、ここからは一般質問(区政一般に対する質問。議員が杉並区側に、自由に質問できる。但し、当然ながら『区政に対する』ものに限る。)での議員の発言内容を一部ご紹介してまいります。
議員の名前の次にカッコ書きで書いているのは、その議員の所属会派名です。

12日の1人目は、山名かなこ議員(れいわを耕す)。
「災害時の避難所は、成人男性という目線で設置されており、これは女性差別である。
災害時の男性から女性への性暴力や差別は許されない。
サニタリー用品や、性暴力を受けた際のモーニングアフターピルも用意しておくべきだ。
女性にとっては、基礎化粧品も必需品だ。
また、避難所で性的マイノリティー、とりわけトランスジェンダーに対する差別的な扱いもしてはならない。」
という主旨の発言を行いました。

議席から、「男性差別をしないでほしい。」という声が聞こえてきましたが、私も「自治体が化粧品やモーニングアフターピルを避難所に準備していないことは、女性が差別されているから、というわけではないのではないか。」と感じました。
しかも、杉並区内の避難所には既に、外から透けないように特殊加工が施されたプライベートテントを配備するなど、女性の声が反映された形になっており、この分野での杉並区の努力は大変素晴らしく、先進的であるといえます。

また、女性用品を置いてほしいのであれば、それをそのまま伝えれば良いのに、わざわざ「男性による差別が起きている」と、男性への非難や憎悪の念を議会の場で表明する必要があるのでしょうか。
反発を招かないような言い方が他にあったのではないか、と質問を聴きながら考えてしまいました。

12日の2人目は前山なおこ議員(立憲民主党杉並区議団)。
「年齢的に議員になることができない幼児や小学生のために、子供議会を作るべきだ」という主旨の質問をしました。
その後、杉並区側から答弁があり、その後、前山議員は再質問があるということで挙手したのち登壇し、再質問の時間が始まりました。
しかし、そこでは自身の質問の中の数字の言い間違えを訂正したのみで、再質問をせず立ち去りました。

本来は、区に対して質問があるからこそ本会議の際に議場で登壇して発言することができるのですが、再質問があると挙手しておいて再質問をせず、自分の言いたいことのみ言って立ち去るというのは、議会のルール破りと言えるでしょう。
これが許されると、議場で登壇しての発言が質問以外でも何でも許されてしまうからです。
平然とルール破りをする議員に「小学生議会って、自分のことじゃないか」という野次が飛び、後に当該議員は各会派幹事長達に謝罪をして回っていました。

3人目は、くすやま美紀議員(日本共産党杉並区議団)。
杉並区の住宅施策に関連し、
「東京の家賃が高過ぎるので、家賃補助を出してほしいという区民の声をよく耳にする。
民間住宅入居者への家賃補助をしてほしい。」
という主旨の発言をしていました。

仮に民間住宅入居者への家賃補助を実現するとなると、莫大な予算が毎年必要になります。
その原資は勿論私たちの払っている税金ですから、要するに、「国民が支払っている税金を、東京の高い家賃を支払えない人達に配れ」という暴論です。
私はもし杉並区議会議員でなかったら、日本の中で見ても家賃の高い杉並区には住もうとは思わず、家賃が安い北海道など別の地域で暮らしていたと思います。
自ら家賃の高い東京を選んで住んでいるにもかかわらず、家賃を払えないのでそれを毎月税金で補填せよ、という考えは到底受け入れられないと思います。

4人目は、ブランシャー明日香議員(緑の党グリーンズジャパン)。
杉並区西荻北に存在し、伐採が決まっている大きな欅(けやき)の木について、「CO2発生抑制など様々な効果を期待できるので、欅の木を切らないでほしい。」という主旨の質問をしました。
この木を切らないよう、仲間と共に署名活動も行っているようです。

しかし、その木が存在している場所はそもそも私有地なので、その欅の木は私有財産です。
人様が口を出せる状況ではありません。
西荻北の欅の木の管理(剪定)には数十万円のお金がその都度かかりますが、伐採反対派の方々が、そのお金を出してくれると言うのでしょうか。
それとも今まで、欅の木から出る虫や落ち葉などの片付けや掃除をしてくれていたのでしょうか。
仮に管理費を出してくれていたとしても、掃除してくれていたとしても、そもそも人様の持ち物には口を出せないはずでは?
ただただ、持ち主の方が気の毒です。

5人目は、てらだはるか議員(立憲民主党杉並区議団)。
子供についての質問の中で、
「ここで区長、理事者の方、議員の皆様、傍聴者の皆様にクイズを出したいと思います。
この世で一番大切な人はだ〜〜っれだっ?
…そう、赤ちゃんです!」
と可愛らしい声で読み上げた瞬間、クラクラすると同時に、私の頭の中には国会で「クイズ王」と呼ばれている某議員さんの顔が浮かびました。
私の職場でも、ついにクイズが…。
立憲民主党は、国会や地方議会でクイズを出さなくてはいけないと党則に書いているのでしょうか?

12日最後の質問者は、ほらぐちともこ議員(都政を革新する会)。
原発処理水海洋放出についての質問の中で、
「こんな量の汚染水を放出している国は、日本以外にありません!」
という発言をしましたが、ボソッと
「中国。」
という声が議場で上がり、
「…そうね、中国はやってるよね。」
「確かに。」
と、それに応える形で周囲から聞こえてきました。
ナイスツッコミです。

他にも、台湾訪問時の麻生太郎副総裁の、所謂「戦う覚悟」発言についての質問など、「杉並区議会ではなく国会で議論するべきでは?」という話題が多く、本来杉並区議会ですべき「区政一般に対する質問」とは言い難い内容に感じました。

次の日、9月13日(水)も議員による一般質問がありましたが、一番最後、5人目の井口えみ議員(無所属・都民ファーストの会)の区長批判の質問は強烈でした。

今年の6月2日から3日にかけて、台風2号の影響により、杉並区の主要河川である善福寺川で一部冠水となる被害が出ました。
井口議員も質問の中で指摘していたように、発災時は田中良 前区長、山田宏 前々区長は区役所で各部課に指示を出したり、自ら避難所に赴くなどしていましたが、岸本聡子区長は6月2日、区役所の庁有車で19時過ぎに帰宅していました。

区長が何か災害情報を発信していないかとX(当時はTwitter)の区長のアカウントを見ると、「郵便ポストに(性の多様性条例が杉並区でできたという表紙の)広報すぎなみが入っていてうれしい。」と6月1日夜に広報誌の写真付きで呟いたままであり、災害情報はゼロでした。

https://togetter.com/li/2160176より。

善福寺川が氾濫するなか、この投稿を見た区民は不安や失望を覚えたことでしょう。
災害発生時のリーダーのあるべき姿として正しかったのかと言われれば、決してそうではなかったと思います。
区長は区の代表ですから、特に非常時はしっかりとリーダーシップを発揮して区民を導いてほしいものです。

さて、令和5年第3回定例会の一般質問の中で気になった点をピックアップしてきましたが、議会の雰囲気を少しはお伝えできたでしょうか。
区議会議員による一般質問は、14、15日にも行われます。
今の杉並区政で何が起こっているのか?
それを知るには、議会を傍聴することが一番良い方法かもしれません。

区民の方も、そうでない方も、是非お気軽に杉並区議会に傍聴にいらしてくださいね。

議員控室にて。

令和5年9月13日
杉並区議会議員 小林ゆみ

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