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"世界一のラグジュアリーデスティネーション"日本、その底力とは?

昨日BoF x マッキンゼーのレポート"The State of Fashion 2025"を元にした世界のファッションビジネストレンドについて書いていたら、日本についての事実が驚きの連続だったので別記事にします。

結論としては、日本は世界上位の人口と消費パワーを持つ世界でもトップレベルのビジネスチャンスの宝庫です、ということです。
日本マーケットの揺るがない底力、見ていきましょう。


激伸びの日本、好調の理由はインバウンドだけじゃない

The State of Fashion 2025では2ページも割いて日本のアパレルビジネスの激伸びが取り上げられています。
ニュース見てると暗いニュースばっかりだしあんまり勢い感じないけど…どうせインバウンドなんでしょ?はい、短いスパンで比較した"伸び"の要因としてはそうかもしれません。ただし、日本、インバウンド以外の底力が実は驚異的なのです。

*The State of Fashion 2025については以下の記事をご覧ください

2019年比3倍にも膨らむインバウンド消費

繰り返しになりますが、日本のアパレルビジネスの伸びの1番の原因はインバウンドです。日本にいるとコロナが終わったから観光客が増えたのかな、と思ってしまいますが、日本の旅行客の多さは異常で、2024年前半のみで1770万人も来日しています。東京都の人口が1440万人ということを考えても、半年で1770万人のインパクトはすごい。その数は、韓国よりも25%、あの広い中国よりも17%、米国よりも8%多く、2023年よりも66%増、コロナ前の2019年と比較しても7%増。そして海外旅行客のインバウンド(免税)消費額は2019年比3倍に。このインバウンド消費の伸びの1番の原因はとても明確で、38年来の円安です。


2025年地域別ラグジュアリーファッションの昨対成長率予想
日本の伸び率8-12%と突出
Source: Business of Fashion "State of Fashion 2025"


2025年、世界一のラグジュアリーデスティネーションは日本

インバウンド消費にも支えられラグジュアリー消費成長率8-12%が予想される日本について、BoFも"2025年も世界一のラグジュアリー消費先"と断言しています。上のグラフすごいですよね。日本、世界のどこより伸びる予想です。
2024年においても、日本のラグジュアリー消費は全体で前年比25-30%伸びており、不調だったケリング (グローバルでは-11 %)やフェラガモ (同-13%)でさえも、それぞれ+27%、+10%と伸びています。
でも不安になるのは、これ円安のお陰じゃん、円安がもし終わったら、あるいはまたコロナみたいな感染症が流行ったらどうなるのってことですよね。

超富裕層数世界4位の日本

まずラグジュアリーで言うと、実は、日本人の富裕層数って世界で見てもすごいんです。日本ってUHNWI(Ultra High Net Worth Individual)=純資産3,000万ドル(約45億円)以上の個人の数が世界で4位ってご存知でしたか?(私知りませんでした汗)ちなみに、具体的に数を調べたら2021年時点で21,300人。え…多。
45億円っていうと桁違いすぎるので超ラグジュアリー業界しかご縁がないようにも思えますが、日本の商機は海外ゲストだけじゃないよ、ということです。"外商"のような究極にパーソナライズされたリテールサービスは、日本の特にラグジュアリーにおいて絶対軽視してはいけない、ということがわかります。
(この辺の日本独特の百貨店の外商とかメンバーシップについては、いつか調べたいです…営業や百貨店のプロの方にも教えてほしい)

人口数も都市別GDPも世界1位の東京、10位以内の大阪

ここから下は"The State of Fashion 2025"レポートに載ってないことに触れていきますが、東京は1954年以来現在に至るまで70年以上、人口数世界1位を保っています。2024年時点で東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は3600万人以上で日本の人口の1/4が東京圏に集中。道理で電車満員だよ(それでも時間通りくるの天才すぎですが)。
以下のグラフ見てお気づきかと思いますが大阪も現在世界10位。東京と大阪は、日本の中ですごいだけではなく世界でもトップ10に入る都市圏なのです。

そしてなんと、Chicago Council on Global Affairsによると、東京は都市別GDPも世界1位!大阪も世界7位!!すごいですね、他の国の都市がキラキラ見えちゃうのでまさかこんなにすごいとは。つまり、東京・大阪の2都市圏に投資した場合のリターンが世界トップレベルに大きいんだね、ということがわかります。
以下は2023年のデータだけど、視覚的にわかりやすいのでどうぞ↓
*GDPのデータは各ソースによって測り方が異なり一部ソースではニューヨークが世界1位で東京は2位となっています

カルチャーが成熟した稀有な都市、東京

さらに東京は、森ビル(森記念財団都市戦略研究所)が経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価した世界の都市総合力ランキング(GPCI)では世界3位です。もっとわかりやすいデータで言うと、ミシュランレストランの数も世界1位でニューヨークの2倍です。人口と経済規模だけじゃなくて住みやすくカルチャーと革新のある世界でも有数の都市、それが東京です。

まとめ

  • 日本は、経済規模や人口の多さ、カルチャーの成熟度、さらには超富裕層数全てにおいて世界トップレベル。円安によるインバウンドは超大事な一方で、日本人を軽視せずローカライズを見極めてやるビジネスリターンは大きい上に、世界に向けたカルチャーの震源地であり続ける

私たちは謙虚なので(自分で言っちゃうと謙虚じゃないですね笑)日本はもう終わりだ、と思いがちですが、首都・東京の人口とGDPは世界1位、さらに数だけじゃなく住みやすさ・文化・開発力が世界3位、日本全体で超富裕層数は世界4位かつインバウンドパワーでラグジュアリー消費先世界1位。日本は確実に世界トップレベルのビジネスチャンスの宝庫かつ世界に向けたブランディングの震源地です。

私実はずっと日本担当のマーケターとしてやってきていましたが、日本が最大の投資先で当たり前だと思っていた10年前、お隣の中国や韓国が重要投資先になって焦ったここ5年、こういった目線で本国にプレゼンしたことはなかったです。単純でベーシックなデータですが、めちゃくちゃパワフルですよね。外資マーケターの皆さんは、こういったベーシックなデータからスタートして細かいデータを積み重ねてストーリーを作っていくといいかもしれないです。意外と本国の人は日本のこと知らないし、目先の新しいマーケットに目が眩んじゃうので。
「日本なんてもうダメだぁー中国韓国タイインドすごいしぃ今もどうせインバウンドのお陰だしぃ」あるいは「イエーイ伸びてるぜ、インバウンドに全振り!」てなる前に、日本の素晴らしさと可能性を分析して戦略を立て、投資してもらえるようプレゼンしましょう。


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