見出し画像

妊娠報告の後悔

両親や大事な人に何をいつ報告するか。
人によって考え方はちがうし、報告したってしなくたってわたしの人生。関係ないっちゃ関係ない。
二度の妊娠と流産で、自分なりにいろいろ考えて言うか言わないかを決断したつもりだったけど、けっきょくそれぞれに後悔した。




一度目の妊娠は両親に報告した


一度目に妊娠したときは、7週相当で心拍確認後に両親に報告をした。初孫の誕生を楽しみにする両親を見て、わたしも嬉しくなった。結婚して8ヶ月での妊娠だったし、心拍の確認ができたことで安心し、母にも、マタニティ用品見に行こうねなんて浮かれたことを言っていた。

そのあと2回目の心拍確認ができず、稽留流産の結果に。この報告をするのは、ほんとうにつらかった。両親も、わたしにかける言葉がないといった感じだった。
報告後しばらくして実家に顔を出したが、わたし自身が気丈に振る舞ってしまったせいか、つらい気持ちを聞いてもらうことも、なぐさめてもらうこともなかった。わたしが両親の前でつらい思いをぶち撒けることから逃げたから。
きっと両親の前で泣いてつらかったと言えば、そっと抱きしめて聞いてくれたと思う。でもそれができなかった。

流産したことと同じくらい、親をガッカリさせたこともわたしにとってショックだった。



二度目の妊娠は誰にも報告しなかった


二度目の妊娠は、前回のことがあり、心拍確認後も妊娠報告はしていなかった。8週で心拍を確認し、母子手帳OKの指示、分娩予約、ゆりかご面談…このときがいちばん幸せだった。ほんとは両親にもこの嬉しさを共有したかったけど、初回の妊婦健診が11週だったので、その結果を見てからにしようと決めていた。
両親をまたガッカリさせたくなかったし、余計な心配をかけたくなかった。親を喜ばせたあとに落胆させることは、娘であるわたしにとって、耐え難いものだった。

結果的には、11週の健診で稽留流産が判明。両親はわたしの二度目の妊娠も流産も知らずに今日も生きている。両親のことは、今時点で悲しませていない。

ただ、二度目に流産してみて、気持ちを聞いてくれる人が夫以外に誰もいないことに気が付いた。
誰かに聞いてもらいたい、なぐさめてもらいたい、がんばったねって言ってほしい…

友人にも、転職後すぐの妊娠で理解されないのがこわくて、また流産するのが不安で、言えないままでいた。

ぜんぶ黙っていたことで、ひとりで抱え込まなくてはならなくなった。



従兄弟に第一子誕生と親から連絡が

こういうときに限って、わたしたちより後に結婚した従兄弟にこどもが生まれたりする。おばあちゃんにとっては初ひ孫で、叔父さん達にとっては初孫で、うちの両親は未だに初孫を抱けていない。
わたしにプレッシャーをかけてこないだけ優しい両親だと思うが、言わないだけでやっぱり孫を抱きたいと思っているんじゃないかと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

生まれたらしいと親から連絡があった数日後に、自分は流産しているなんて。親から写真が送られてきたけど、そっと削除した。見る余裕なんてなかった。
わたしはなんてかわいそうなんだろうって思った。余計に親には言えなかった。



味方を作るということ


誰か1人でも話せる味方を作っておくべきだった。それは夫ではだめで(夫は当事者なので、いっしょに苦しんでいる)第三者であるべきだった。夫とわたしでは、お互いにショックで落ち込んでいたらズルズルと足を引っ張り合い落ち込み沼にハマることになる。

実は夫は打ち明けられる味方を作っていて、その人と話すことで早めに元気を出して、わたしを引っ張り上げようとしてくれた。
「流産した妻に寄り添ってやれ」
「妻に悲しみに浸らせてやれ」
「時間が解決する」
と言われるかもしれないが、それが夫なりのわたしに対する助けの手だった。もちろん夫は味方だが、浸ってたらいつまでも浸れる2人なので。

時間は根本的な解決にはならない。
こんな人生のどん底を味わったときに、自分自身を浮上させるため…味方をつくっておいて気晴らしに出かけたり、話を聞いてもらってスッキリしたり、美味しいものを食べてもいい。
「なにか自分自身を上向きにさせる方法を、用意しておかなきゃね」
って、泣きすぎて床と同化したわたしに夫は淡々と話してくれた。



やっぱりだれかに話したい

二度の流産を経験して、もし次に妊娠したときは誰かにそっと報告しようかなと思う。そのときには、これまでの流産のことも話したいと思っている。わたしはそんなに強くないし、ひとりで抱えるのは心が持たない。
そしてどんな結果になっても、味方に話を聞いてもらって、美味しいものたくさん食べて、大好きな酒を飲んで元気になっていきたい。 

夫は、流産手術の2日後にともだちと山梨へ星空を観にでかけた。わたしは快く送り出し、その代わりお土産で美味しいものをリクエストした。
「道も混んでたし星もぜんぜん見えなかったよ」
と桃ブッセを買って帰ってきた夫を見て、
「お盆前に無理にでかけるからだよ」
なんて言いながらブッセを頬張った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?