縁結びの神様
病気は徐々に進行していたが、身の回りのことはまだ自力で出来ていた。
歩行できる距離が大分短くなってきたので、ディズニーシーに行って以来、外出時は車椅子を利用することが増えた。
そんな頃、大学時代からの友人2人と京都旅行に行こうということになった。
目的は縁結びである。
私たちも20代半ばを過ぎて、彼氏がいないことに焦っていたのかもしれないが、清水寺の地主神社という神社が縁結びで有名だということで行こう!と思い立って行ったのだと思う。
仲の良い友人たちとは言え、車椅子を利用するようになった私と外出するのは不慣れだし、まして泊りでの旅行を一緒にするというのはプレッシャーではなかっただろうかと今は思うが、まだ勢いで行動できる若さがあったのだろう。
バリアフリーの旅をコーディネートしてくれる会社を探し、そこに色々と手配してもらった気がするが、バリアフリールームということで手配してもらった部屋のバスルームの手前に二段ほど段差があったのは残念だった。その当時はまだなんとか階段も上れてたので大丈夫だったが、完全に歩行が出来ない状態だったら大変なことになっていたと思う。
旅行当日は、友人が長時間座っていてもお尻が痛くならないクッションを持ってきてくれて、私も車椅子でも快適に過ごせた。
その友人は介護用品を扱う会社に勤めていて、私よりも介護用品に詳しかったので、まだ障害者歴の浅い私にはとても助かった。
現地ではタクシーを貸し切って色々と案内してもらった。
そして念願の清水寺に到着して地主神社を目指した。
中学の修学旅行で来た以来の清水寺であったが、その美しさと荘厳さとパワーを感じた。中学生の時の記憶はほとんどないので、まだ未熟だったのだろう。
地主神社には階段を上っていかないと辿りつけない造りだった。
人も結構多く、左は友人につかまり、右は杖をついて上がるのには少し勇気が必要だったが、せっかく来たからには諦めたくないという私の闘志に火がつき、頑張って上った。
無事に縁結びの神様に素敵なご縁をお願いすることができた。
付き添ってくれた友人たちに感謝。
車椅子で不自由なこともあったけど、京都の神社仏閣はバリアフリーが整備されているところが多く、想像以上に楽しむことができたし、友人たちと良い思い出を作ることができた。
縁結びの効果だが、この旅行の後わりとすぐに夫との出逢いがあった。
障害者が集うコミュニティのような場所がネットにあり、そこに投稿した私に夫からメールが届いたのがきっかけだった。
夫も左腕を切断して中途障害者になった人だったが、片腕でもなんでもできるスーパーマンのような人だった。
私に生きる希望を与えてくれた主人とのご縁を地主神社の神様が結んでくれたのだろう。
驚くことに、夫もちょうど同じころに地主神社に行っていたことが後に判明し、私の中で地主神社は本物の縁結びの神様だということになった。
地主神社、また行きたいな。
でももう今は全く歩けないし、あの階段を車椅子ごと抱えてもらうのは厳しいだろう。
心の中で夫と繋いでくれたことにお礼を伝えようと思う。
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