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杖をつきながらのバージンロード
夫とは出逢って付き合い始めるのに時間はかからなかった。
お互い最適なタイミングで出逢って、相性も良かったのだろう。
夫は車の運転も好きで、外出するのも好きだったので、色々な場所に連れて行ってくれた。
ディズニーも好きだったのが私は嬉しかった。車椅子デビューしたディズニーシーに行って以来、ディズニーの楽しさと心地良さを知ってしまったのだ。
夫とは付き合ってから1年後には同棲開始。
私の父は障害者の二人で生活するなんて心配だと言っていたが、私たちはそんな心配も振り切って同棲生活を始めた。
実家を早く出て自立したいとずっと思っていたので私にとっては良いきっかけだった。
その当時はまだ家事全般も不自由ながら出来ていたので、仕事と家事を両立させながらの生活が始まった。
家事をするにも時間がかかってしまうので、体力的には厳しかったが、何でも自分たちの自由になる同棲生活は楽しかった。
ただたまに部屋の中で転んで、立ち上がりが難しい時も出てきて、そんな時は母に連絡して来てもらっていた。
原チャリで実家から10分弱くらいの距離だったので、実家の近くにしておいて良かった。
同棲生活にも慣れてきたころに結婚が決まり、結婚式場を探し始めた。
病気になってから病院の待合室で知らないおばさんに、「それじゃあ(そんな病気じゃ)結婚できないね」と言われた事があり、その時に「私は絶対に結婚してみせる!」と決めた。
思い出すと私は本当に負けず嫌いだなぁと思う。
式場探しをしているときに、ディズニーのオフィシャルホテルのウェディングフェアの情報を見つけてしまった。
そんな豪華な結婚式は無理だろうけど、ウェディングフェアに行くだけならタダだしと思って行ってみることにした。
ディズニーのオフィシャルホテルといえば、当時はアンバサダーホテルとホテルミラコスタの2つだった。
最初に見に行ったのはアンバサダーホテル。
フェアの会場に着いた途端、「うわ〜、素敵」と私の目はハートになってしまった。
ディズニープリンセスをイメージしたドレスだったり、ミッキーやドナルドの形に折られたテーブルナプキンだったり、細部までディズニーになっている会場がもう素敵過ぎた。
ここで挙げたら、列席者も絶対楽しいよねと夫と話し、フェアを見に行くだけのつもりが、その日のうちに日程もおさえてしまった。
そんなわけで私たちはディズニーのホテルで結婚式を挙げることになった。
結婚式を挙げるにあたり、私が一番不安だったのはドレスを着てバージンロードを歩くこと。
まだ支えてもらえば歩けていたので、どうしても歩きたかった。
ドレスを試着してみるとかなりの重量を感じる。そして裾が長いので足元も見えないし、裾を踏む可能性もある。
裾を踏んだらすぐにバランスが崩れて転倒してしまうだろう。
その頃は足首を固定するサポーターがないと歩くのが危険だった。
幸いドレスだと足元は隠れるので、足首はサポーターをつけて、靴は履かずに裸足で歩けば何とか歩けそうな気がした。
イメージは出来たが、実際に歩いてみないとわからないと思っていたら、私の不安を感じてくれたのか、式の前に一度リハーサル日を決めて、実際に歩けるか試させて頂けることになった。
リハーサルまでさせて頂けるなんて、やっぱりこのホテルにして良かったと思った。
リハーサルも無事に終わり、本番の日が来た。
当日は、本当に幸せだった。
大好きなディズニーホテルで、ミッキーや大好きな人たちに祝福され、スタッフの方々も最高のサポートをしてくれて、楽しくて幸せで、最高な日だった。
夫だったからこんな最高な結婚式を挙げられたのだと思う。
本当にありがとう!
2005年11月13日。
私たちが幸せに溢れた日だった。