ある22歳の春、ロウ・イエの作品に魅せられた。

数年前の22歳の春、私はロウ・イエという監督に出会う。
婁 燁 (ロウ・イエ)とは、中国・上海出身の映画監督であり、脚本家である。
この監督の作品に出会い、私は中国映画にハマるきっかけとなった。

まず、ロウ・イエの作品に出会ったのは映画配信サービスで次に観る作品を探していた時だ。何となく「二重生活」(2012年)というタイトルが目に入り、ほどなくして「ふたりの人魚」(2000年)のサムネイル画像に惹かれた時にはもう、あと9日で配信終了の文字があり、これは観るしかないと私を突き動かしていた。

●「ふたりの人魚」と「スプリング・フィーバー」に見られる映像と音の魅力

ロウ・イエ監督のあらゆるシーンで思うことがある。それは役者とカメラの近さだ。カメラのレンズを通しているのにも関わらず、目の動きや口の動き、表情筋の動きまでもが印象深くなり、登場人物の内面に映画を見ている側も深く引き込まれた。

曇空や雨のシーンもロウ・イエ監督の作品にはよく出てくる。曇天の薄暗さやしきりに雨が降る音が、前後のシーンをより際立たせていたように思える。

映画と自分の間に何一つとして隔たりがなく、常に映画と生身の身体が触れているような感覚だった。

それこそ「映画」でしか表現し感じることの出来る魅力なのではないだろうか。

そして何より中国で映画を撮り続けるということが、どれだけのパワーが必要か、私には到底理解することなど出来ない。それでも、映画に魅了された同じアジア圏の若者がいることをここに記しておきたい。

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