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こんな曖昧な「実施協定案」を国は認可できるのか

山田 明

大阪府市は5日に大阪IRカジノ「関連協定案」等を公表した。弁護士さんらと精査すると、重大な問題点が浮き彫りになってきた。写真は「IR事業の工程」。見直し後、2023年夏頃、実施協定の締結認可とあり、実施協定・事業用定期借地権設定契約等の締結、そして秋頃には液状化対策工事の着手とある。
昨日もレポートしたが、2025年春頃、IR建設工事の発注及び着手と書かれている。冗談じゃない。大阪・関西万博の海外パビリオンなどの建設工事は、遅れに遅れて、開催延期が与党議員から指摘される緊急事態なのだ。これにIR工事が重なったら、どうなるのか目に見えている。岸田政権が万博を実施したいと考えるなら、夢洲IRカジノなど「ちょっと待て」と警告を発するのでないか。政府与党の「夢洲万博」に対する本気度が試されている。

変更となった事業の前提条件

こんなIR事業の工程に合わせるかのように、大阪府市は実施協定案などを決めて、国(国土交通大臣)に認可申請をしようとしている。再び、「ちょっと待て」と言いたい。国は生煮えで曖昧な実施協定案を認可できるのかを問いたい。実施協定案などを精査すると、IRカジノ事業者に有利な規定が目につき、とりわけ夢洲の土地所有者である、大阪市の負担ばかり膨らむことが見えてくる。2点だけ問題を指摘しておきたい。
実施協定案の第99条の2、SPC(事業者)の事業前提条件に基づく解除で、解除期限は2026年9月末日までと書かれている。事業者がIRカジノ事業から違約金なしで撤退できる「解除権」は、事業者側の意向により今後3年間延長されることになった。事前前提条件とは税務上の取扱い、カジノ管理委員会規則、資金調達、開発、新型コロナウィルス感染症、財務、重大な悪影響である。これら7つのうち、いずれかが成就していないと事業者が判断する場合には、本実施協定を解除、IRカジノ事業から撤退できる。
資料「事業前提条件の状況と対応について」の事業者の見解が重要である。

変更後の工期

・判断基準日において事業前提条件が成就していないものと判断
・事業実現に向けた意思に変わりはなく、引き続き、事業実現に向けて必要な手続きや
準備を進め、事業実現に向けて最大限尽力してまいりたい。
・他方で、条件が成熟していない現状においては、最終的な事業実施判断を行うことが
できる状況にない。
・現時点においては、基本協定を解除しないこととし、条件に基づく解除権を規定する
等、合理的に必要な範囲の修正を行ったうえで実施協定の認可申請を行っていきたい。
最終的な事業実施判断は、IR建設工事の発注及び着手後にするのであろうか?

(2023年9月7日)


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