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第1回 何にもしない合宿を開催しました

2024.6.28~29に、廿日市市立宮内小学校で第1回の何にもしない合宿を開催しました。
48人のこどもたちと、たくさんの大人たちが集まり、ワイワイと楽しく過ごしました。

こどもたちはバスケやドッジボールをして遊び、走り回ったりボードゲームをしたりと、思い思いに合宿の時間を過ごしていました。
こどもだけでなく大人もあちこちで遊んでいて、合宿をきっかけに「顔見知り」や「知り合い」になっていくきっかけ(の第一歩)ができたのかなと思っています。

バスケをしている大きめの人たち

何にもしない合宿ってなに?

静岡県裾野市で2012年にはじまった、月に一回のお泊り会です。
名前の由来は、大人が特別なことを何にもしない合宿だということから。
運営する大人の負担を極力減らすことで、定期的な開催を実現し、地域内の人と人が知り合う場として、地域の社会教育の土壌づくりをすることが合宿の目的です。

裾野市に見学に行ったのが2019年のことでした。それからすぐに、廿日市市宮内で何にもしない合宿を開催しようと準備して、募集を行い会場も決めていざ開催!というところで来たのがコロナでした。
それ以来ずっと、「いつかは何にもしない合宿をやるぞ!」という想いを胸に、今日まで機会を待ち続けていました。

フラフープ3個回せるってすごくない?

あいさつの前に、知り合うことがある

住みやすい街ってどんな街でしょう?
なんでもほしいものが揃うとか、病院やお店があって便利とか、駅に近いとか、いろんな要素があるのだと思いますが、『人が笑顔で心地よく暮らしあっていく』ことには人と人とのつながりが大切だと考えています。
お隣さんがどんな人なのか、会ったこともないし顔も知らないというのではなんだか寂しいですし、災害などのいざというときに助け合うこともできません。
「知らない人は不審者」という世の中で、「知っている人」がたくさんいることは安心に直結します。とりわけこどもたちにとっては、困ったときに助けを求めたり相談できる大人(親や先生以外の大人)がたくさんいることの価値はとても大きいものです。

今日はじめて会ったのにこの笑顔

人と人がつながりあうためには「あいさつをしよう」ということがありがちですが、普段の暮らしの中で見ず知らずの人にいきなり挨拶をするのは抵抗があるものです。気持ちの良い挨拶が自然に交わされるのは、それが知り合い同士だから。挨拶の手前には知り合うという段階があります。
合宿では、ただ「遊ぶ」という営みを通して、「知り合い」を自然にたくさん作ることができます。その先に何が生まれてくるのかは今のところ未知数ですが、街が暮らしやすい場になっていくために、ただただ「知り合う」ということを積み重ねておくことで、将来何かいいことになるのではないだろうかと信じています。

このような、いますぐに結果が出るわけではないけれど、その下ごしらえをしていく営みこそが、社会教育の「土壌づくり」です。良い土壌(人と人との良好な関係性)を作っておけば、その上にどんな花を咲かせるかは個人の自由です。合宿に参加するこどもや大人が、将来どんな花を咲かせていくのか、いまから楽しみです。

「マット運動したい!」と自分たちでマットを準備して運動するひと

寝てみてわかることがある

今回は男子が体育館、女子は多目的教室と分かれて就寝しました。
どちらの部屋も、楽しくてワクワクしてなかなか寝付けなかったようです。おしゃべりの声がうるさくて眠れないという人もいたそうです。
また、体育館はトイレに行くための足音が響くとか、この季節に寝袋にくるまって寝ると暑いとか、蚊が来るといったいろいろなことが、直接体験するからこそ分かりました。

見たり聞いたりして知った気になっているのと、直接体験していることの差はとても大きなものです。暑さや寒さを肌で知っているからこそ、服装や装備を考えられるようになります。蚊にたくさん刺されたからこそ、薬を持っていくことを思いつきます。うるさくて眠れないからこそ、迷惑をかけられる側の気持ちが身をもってわかります。
「体験を通して学ぶ」ということは、学校教育や家庭教育ではなかなか学びにくいものです。そこが得意なのも、社会教育の強みではないかと考えています。

これぞ男子の寝床

場を大切にするということ

こどもたちには「場を大切にしよう」という話をしました。
まだ生まれたばかりの何にもしない合宿は、大人が決めるばかりの場所ではありません。こどもたちと話し合いを重ね、こどもたちが作る合宿にしていきたいと考えています。
合宿では他者への思いやりや配慮、自由と自由のぶつかり合いや自由の相互承認など様々なことが生まれてくると思います。
その都度真剣に話し合い、ルールが必要ならルールを作り、継続的な開催をどうしたら実現できるのかについて、こどもたちとの対話を重ねていきたいと思います。

これはもしかしたら、何にもしない合宿というプロジェクト学習なのかもしれません。
でもそこにあるのは、ただ遊ぶという日常の積み重ねだけ。
ただ遊ぶ以上の目的を持たせず、シンプルに土壌づくりを続けることが何にもしない合宿の役割です。
合宿の中で出てくる「あれやりたい」「これをしたい」という声は、何にもしない合宿とは別事業で新しく作っていきたいと思います。そのあたりの取り組みについては、またこんど。

かたづけもあそびながら

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