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居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜 P10
1.黒田 誠 オープン記念キャンペーン⑨
ワゴンがやって来る度に何か注文しなければならないような気分になってしまい、俺は何かしら注文しまくった。
「…そんなに一度に注文しなくても…ワゴンは待ってればまた同じ系統の料理を運んで来ますから、食べ終わってから注文しても大丈夫ですよ」
関口さんが笑ってアドバイスをしてくれた。
そして自分の唐揚げにレモンを絞る。
俺は少々恥ずかしさを感じ、ビールを飲んでごまかした。
そして改めて自分の席のテーブルからあふれる料理の多さに気づく。
うん…料理を食べる事に専念しよう。
ビールのみ再度注文し黙々と料理を楽しむ。
味的には普通の居酒屋料理だ。
何となくだか食器が空になる度にトレイから食器を外し、次に食べようと思った料理をジョイントさせてから食べることにした。
駅弁風にしてから食べたかったんだ。
うん、雰囲気大事!
例えテーブルから食器がはみだしたとしても…。
食器もよく見ると駅弁のような柄が施されてた。材質もプラスチック製で使い回せるようになっている。
本当によく考えられていると思う。
席の近くの窓に目を向ける。
山の絵が描かれた大きな看板が見えた。
だからこの電車の名前が『マウンテン号』なのだろう。
名前から察するにホームの反対側に止まっている列車からは海が描かれた看板が見えるんじゃないかな…。
俺は注文しまくった料理をあらかた食べ終えた。
気がつけば座席の周りの皿が置けそうな場所にはカラの皿が積み重なっている。
空になった食器をまとめ座席周りに余裕をもたせようとしてみたが如何せん食器のほうが多くてまとめきれない。
ふと、隣の関口さんを見ると、テーブルの上にはトレイにジョイントされた食器が一つとグラスだけ…???
あれ?
関口さん料理あんまり注文しなかったの?
…いやいや、そんな事は絶対に無い…はず…。
居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
1.黒田 誠 オープン記念キャンペーン⑩
へ続く