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soeji
居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜 P69
5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑩
「いやぁ…この時間で食べられるとは思わなかった」
黒田さんはニコニコと骨付きカルビやら〆鯖やらワサビの海苔巻きやらを買っている。
私も食べられそうな料理…主に肉料理を購入した。
ジャンも同じく適当に食材が何かわかっている料理を購入していた。
器同士が連結できる仕様なのが楽しい。
だが…一皿一皿の大きさが小さ過ぎないか?
少しづつ食べられる分だけというのは合理的だが……
二皿買うべきか?
「何かクドい料理ばかり買っちゃったね」
「あ、あそこの屋台の看板『サラダ』って書いてありますよ」
日本人二人組はなんの疑問もなく買い物を続けている。
「ロベルトも考えずに受け入れたほうが楽だよ。『これが日本だ!』」
ジャンは悟った顔で串に刺さった牛肉を買っていた。
確かにそうだ。
疑問は考えず楽しむ事にしよう。
とりあえず串に刺さった牛肉はもう一皿買おう!
私は開き直ってキョロキョロと辺りを見回し食べられそうな料理を探す。
サラダも買わねば!
ある程度料理を購入し、席に戻ろうと列車を見ると側面に何やら着物(浴衣)を着た子供が遊んでいる絵が描かれていた。
「あ、金魚すくいしてる」
黒田さんが車体の絵を見てつぶやいた。
「キンギョスクイ?」
また知らない日本語が出てきた。
「うん、この絵」
黒田さんは赤い浴衣を着た女の子が小さな網(?)のようなモノを持って赤い魚を捕まえている絵を指す。
「夏祭りみたいな縁日には定番のお店だよ。水に濡れると破れ易い紙製の『ポイ』って名前がついてる捕獲具を使って、それが破れるまで金魚をすくえるんだ」
居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑪ へ続く。
https://note.com/yumeoka_ayako/n/ncc42ef96ccec