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居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜         P52

4.関口 真奈美 センチメンタルジャーニー①

「さぁくぅらぁ〜 さぁくぅらぁ〜 やぁよぅいぃのぉそぉらぁはぁ〜」
「先輩! やめて下さい。皆見てますよ!」
 私は必死に大学の先輩でもあった近藤美也(通称:みゃあ先輩)を宥める。
「らに? わらぁしのうたがぁ上手いからぁ?」
「違いますよ。音痴だからです」
「だぁれがおんちじゃぁ〜 キャハハハ…」

 本当にこの女の大トラはタチが悪い。
 人の話を聞かない。

「よぉし! もう一軒行こう!」
「ダメですってば! 帰りましょうよぅ」

 私もお付き合いで少々飲んだが何とか正気を保っている。
 なのにみゃあ先輩は明らかに飲み過ぎてへべれけだ。

 今日は楽しみにしてる深夜アニメも無いから良いケド……。


 数時間前、仕事帰りに私は職場近くの繁華街でみゃあ(近藤美也)先輩にばったり出くわした。

「え?」
「は?」

 初めは誰だかちっとも分からなかった。
 でも…
「もしかして…マナミン?」
「みゃあ先輩?」
 そう呼びかけあえば秒で学生時代に戻る。
 学生時代の面影などほとんどないにもかかわらずお互いに相手が誰だか認識した。

「きゃあ! どうしたんですか? こんなところで…」

「会社がこの近くなのよ」

 この繁華街って不思議と旧友と会うのよねぇ……。
 近藤先輩は大学のサークルでお世話になった人だ。
 仲も割りと良かった人だったけど卒業と共に会わなくなってしまっていた。

「よし! 再会記念だ! 飲もう!」
「は?」

 かなり強引に誘われ適当な居酒屋へ
 近況等を語りつつ酒を酌み交わす。

居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
4.関口 真奈美 センチメンタルジャーニー② へ続く


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