『墓標』(凋叶棕)の考察 ~楽園を偽る悪趣味な人形遊び~(ネタバレ)
実際夢を追っても成功することは少ないです。そして技術的には可能性があっても、環境がそれを許さないことがあります。いや環境ゆえに失敗することもあるでしょう。そんなもんだというのを、夢破れた立場から歌ってる曲ではないかと考えます。
だから、夢を描いていたが失敗したあとの曲だというXIVの番号をもらいながら、夢を追ったが失敗する世界を俯瞰するという立場で一曲目にあるのではないかと思います。
背景概説
東方Projectは自らの作品の設定や音楽をもとに一定のガイドラインのもと自由に二次創作することを推奨しています。
この曲の登場人物は博麗霊夢ですが、おそらく関係ないです。
(2024/4/21追記)
2002.8.11のC62で頒布された初版蓬莱人形ブックレットを基にしていると考えられます。
初版蓬莱人形ブックレットと、蓬莱人形に収録されているU.N.オーエンは彼女なのか?は、アガサクリスティ「そして誰もいなくなった」を基にしています。一人一人、正直者が消えていくというストーリー。起業だイノベーションだのと夢を追った正直者は一人ひとり消えていく。そんな現実世界を暗喩しているように見えます。
歌詞分析
夢を描いたが失敗した。そうして誰もいなくなった。骸は行っていたプロジェクトと考えます。
ここですが、ひょっとしたらやってたプロジェクトは誰かに奪われたのかもしれませんね。誰かが乗っ取って首の立ち位置になった。しかし躯とは切り離された。首は幸福になったが、躯は磔となった。
失敗したプロジェクトの担い手はもうその分野では生きていくことはできない屍。
誰だってなにか新しいことを始めるときは成功することを夢見ます。だけど実際いろんな人間が関わってくるものです。たちの悪い邪魔や嘘で騙そうという人間のみならず、良くても自分の立場のために無理強いや大言壮語はするものでしょう。成功した徒側の『<正調>佐渡の二ッ岩』では、過去を振り返って「幾多幾千大言に人もかくもと畏るとヨ 」と歌っています。しかし、『墓標』ではただの嘘つきでおわってしまった。大言と嘘つきの違いは言っていたものができたかできなかったのかの結果論。新しいものを作る世界というのは嘘つきの幻想郷。
新しいものを作るという世界はこんな恐ろしい世界。さっさと去ったほうが正解でしょう。
そうしてというのは、「恐ろしいから今逃げ出す」のか、「逃げ出そうとしてドツボに入る」のかどちらにでも読めます。まあ、恐ろしい世界なのにわざわざ入ってくるのは愚か者だと筆者は述べておきましょう。
そもそもがこの惨劇は、誰かがプロジェクトに絡んできたが結果的に悪い方向に作用したという側面もあります。だから、物事の判断権は自分の手に置くことこそが安全な生き方である。生殺与奪の権を他人に取られてしまった結果。判断権を外部に委ねてしまったら、外部の人間に振り回され、失敗して、社会の敵として糾弾されました。
この人形とは、『怪奇!人形の館 迷い込んだ男の運命は』の人形であり、その前の曲の『心強きもの』の少女一輪。様々な人の思惑で振り回される、かつての心強きものたち。少女一輪たちが振り回される様を悪趣味な人形遊びと呼んでいます。少女一輪たちはかくも愚かでした。嗤っている謎のピエロは、少女一輪から事業を奪って売り払った投資家雲山の可能性もあるでしょう。あるいは起業だ!イノベーションだ!と叫び、心強きものを振り回す軽薄な連中かもしれません。
いずれにしても失敗してしまったが、悪趣味な人形遊びの世界は去る事ができました。去る事ができたということが勝者ということです。失敗の要因なんて様々あります。その思い出を『墓標』として心のうちに抱いて曲は続きます。
ここからは具体的な墓標として刻まれた失敗例をあげています。他の現実との対比で用いるため番号を付加しています。
なにか着想があって始めたんでしょう。まさに好奇心をもとに。成功を疑いませんでした。だけど、それは人生には最悪の方向に作用しました。好奇心なぞ持たないのが正解だったのでしょう。
様々な人間の悪意があります。他人が分け前を多く得たいというのから、他の案件に利用したいという思惑、段取りや負荷を意識しないマネジメント、ただの嫉妬、他人の承認欲求の餌を求めるなどです。しかしプロジェクトの遂行者は一人で進み、かつ、そのような人間の悪意についての知識が少なかたのです。すなわち幼い。故に気づけずにいました。
進んでいけばなにかしら問題が起きるでしょう。だけど、期間や費用を拘束されていれば、細かく問題に対処することはできません。無駄に問題に気づく聡さがなければ先に失敗が見えていても、「当人は」安泰に過ごすことはできたかもしれません。無論気づかなければプロジェクト自体は失敗に終わったかもしれません。それでも当人の立ち位置はまだマシだったでしょう。
場合によっては色恋を用いて判断を捻じ曲げようという人間も現れるでしょう。無論色恋を用いるのはそれによって利益を多く得たいという第三者であり、場合によっては捻じ曲げたことにより失敗してしまうこともあるやもしれません。
だれかに丑の刻まいりをされるようにまでなりました。丑の刻まいりをされるとは誰かに恨まれたということです。例えば嫉妬だとかだとか。しかし嫉妬で恨まれるなんて恨むやつの勝手だから、警戒なんて意味がありません。それでも恨まれて引っ掻き回されて失敗に終わることもあるでしょう。
どうしても失敗したプロジェクトの担い手はハードワークになります。ジャンクフードだよりにもなります。徹夜も続き、結果的には遅寝遅起きになり、体調も崩すでしょう。早起きは三文の得という言葉があります。早寝をするときちんと疲れが取れて早起きになるという話です。些細な得ではありますが、些細なりにも得はあるということです。そして、もはや自分一人の体ではありません。自分が倒れれば、他人にも迷惑がかかります。逆に、自分が健康でいられれば、他人も迷惑がかからず得をします。早寝早起きで自分の得する三文と、他人が得する三文合わせての六文の得ということだと考えます。
結局正直者として真面目にこのようなものができるかもしれないと願ったことがバカを見る根源なのかもしれません。正直者であれば俺の言うことも聞くだろう、あるいは強引にゴリ押しすれば言うことを聞くだろうと周りは考えます。その結果プロジェクトを行っている人間は馬鹿を見ます。一方で臆病者であれば進みようがないがどうしようもありません。
プロジェクトを始めたときは、皆が仲良くできるはずでした。成果が出るはずでした。終わりかけのときに細かいことをどうしたらいいみたいなやつは現れます。
新しいプロジェクトを始めると言っても、正直者一辺倒であればバカを見ます。まあ正直そんな世界だということです。
そんなものならやめてしまったほうがいいでしょう。新しいプロジェクトなんかをもとに引っ掻き回されるような世界よりも、まともな人間に囲まれて安定した仕事で飯を食う世界のほうが遥かに幸せで、勝者だということでしょう。
(2024/4/21追記)
初版蓬莱人形ブックレットには次の記載があります
新しい、このようなものを作れば受け入れられるという道は、正しい道から外れて安定しないものです。
考察:STAP細胞と照らし合わせて
現実との対比についてです。STAP細胞限定であれば、小保方氏が正しいとしてきちんと生データ保存しとけが第一ではあります。何ができて何ができてないかがはっきりしない代物だから、誰かが奪うと言ってもできないでしょう。
ただ小保方晴子「あの日」の小保方氏の発言を正しいとするならば、STAP細胞(多能性を示す遺伝子が働いている細胞)からSTAP幹細胞(多能性を実際に示し、実際に様々な細胞に分化する幹細胞)に転じさせる段階で、他の人間が「大言壮語という嘘」をはいて、理解のできぬ世界ででかい研究費や研究センターを作る材料に使われて、現実にできなかったということでしょうか。
STAP幹細胞がどのようにしてできるのか?という一番鍵の部分が理解のできぬ世界の状態で、小保方氏の名前で論文をかいたのはミステイクではあるでしょう。
謎のピエロは小保方氏の研究テーマをえさに研究センターを作ることを決めてイノベーションだの言ってる上司研究者や役人たちです。
小保方氏の話を信じるとして、炎上してしまった案件について追試ができなってしまいました。また小保方氏への批判に対する反論ももう封じられて一方的にサンドバックにされる状況でした。
小保方氏は叩いてもいい人間だと認定され、様々な人間が好き勝手に言うことになってしまいました。見に覚えのないような笹井氏の愛人だという言いがかりも含めて言いたい放題にもなっています。
考察:社長の愛人が五千万持ち逃げしました事件とと照らし合わせて
また、もうひとつ、この曲は様々なプロジェクトの失敗として、会社が潰れていく姿でもあるかもしれません。
たとえば、この漫画はとある会社が倒産していくまでの流れです。社長が愛人に引っかかり、潰れていく過程です。
このページ4,6は書類の管理がおろそかになり乱脈経営でおかしくなっていくことが見えていました。ページ4は郵便物管理がなせていなくなっています。ページ6は出費がおかしくなっていきます。だけど改善としてあがくことすらできませんでした。下手に忠言する聡さは当人にしてみれば首切りにつながる愚かな行為でした。
そもそも、この会社の社長が変な愛人に引っかかったこと、それからページ5の会計士が愛人に引っかかったことが原因です。ページ5についてこの会社が経理を首にしたため事業が回らずに会計士を呼んできました。だけども、愛人は会計士を食事に呼び、そして夜の世界でかどわかして逆らえないようにしてしまいました。会計士が危ない人間に油断したがためにさらに会社は悪い方向に傾いてしまいました。成功側の「徒」も最後の曲は『一夜之夢』として、悪い女が近づいてきます。徒側も最後はどうなるのかはまだわかりません。
詳しくは同人誌本体で。
また他にこちらの漫画があります。
考察:とある新人漫画家に、本当に起こった怖い話事件と照らし合わせて
ある出版社との契約に振り回された新人漫画家の話です。
については色紙の枚数をはっきりさせない。理解のできない状況で受けてはいけなかったということでしょう。
他人をぶん回しても平然として、自分の立場や利益のために他人がどうなっても構わないという人間が笑っています。この謎のピエロは他人事である担当編集者、編集長でしょう。
については、担当編集者の能力を見定めずに仕事を受けてしました。好奇心が故に。
担当者編集者が能力がなくて、新人漫画家に泥をかぶせるような行為を大量にしてきました。新人漫画家が担当編集者に対してそのような行為をする人間だということを気づけずなかったのです。
炎上案件となり、様々な人が攻撃をするような状況になってしまいました。もはやその状態では新人漫画家の細かい警戒なぞ意味がない世界です。
べらぼうな数の色紙執筆で睡眠時間を削るようになってしまいました。それが故に精神的にも相当参った状態になってしまいました。
新人漫画家が相手の要望に応えようという正直者でした。だけどそれは編集者の無能さや引っ掻き回しにより一方的な被害をみるような馬鹿を見るような行為でした。
新人漫画家の件は、担当者や組織が無能だということも有り、『墓標』と合致する項目が多いです。
プロジェクト本体の価値よりも、周りの人間によって潰される案件も多いでしょう。無論当人の必要な能力不足もあるでしょう。だけどプロジェクトが潰れる要因というのはプロジェクトの本来の価値以外に色々あるわけです。プロジェクトが自分のハンドルを超えて、生殺与奪の権が他人に取られて、まともに動かせないような状況であればやめることが勝者です。この曲はそういうことを歌っていると感じます。
まあ、地獄のような世界を去って、新しい世界を歩んでいくということで、次の曲の選択肢の一つはこっちなのかもしれません。
Next: from the corpse to the journey
ただ、あくまでもこのCDでの次の曲はこちらです。
Next: 葬迎
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