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凋叶棕「噤」の考察 ~あの敵を叩けという鳥の声と、立ち向かう者たちと~


はじめに

凋叶棕「噤」は何らかの落ち度によりあの敵を叩き潰せ!の掛け声の標的になった人と、荒れた境遇に立ち向かい、時には希望へと続かせる物語の語り手になるアルバムです。自分を信じて立ち向かったり、一人で休んだり、新しい場所を作ったり、創作で昇華したりします。

凋叶棕「only that screech ingrained」


screech は鳥がキーキー鳴く声。Ingrainedは根強く。
何らかの失態をした人にハゲタカのように敵として叩き潰せと叫ぶ状況を示します。人間が原始人から社会を作り、異物を排除して集団となる時から叫び続ける人は叫び続けています。

凋叶棕「ユメミルクジラ」

タイトルだけで意味を示している曲です。一見ほんわかしたタイトルと曲に見えます。けども、他の曲の内容と照らし合わせてみれば、自分たちの正義を「ユメミ」て、集団になりでかくなったと思いたい「クジラ」ではないかと考えます。

凋叶棕「「人狼」」


元は「人狼ゲーム」として集団の中に紛れ込んだ狼を見つけるというゲームです。転じて何らかの失態により叩くべき敵を見つけて狼だと指弾しています。だけど理由は言いがかりです。叩いている奴こそ狼でしょう。

凋叶棕「彼女のための物語」

タイトルだけで意味を示している曲です。失態は何らかの行動が結果的に指弾すべきことになってしまったからです。失態をした彼女は今までの考えと異なり、破壊して、何らかの行動をしたり、新しい物を作る人でした。

凋叶棕「蠖シ螂ウ縺ョ縺薙→繧定ェソ縺ケ縺ヲ縺ッ縺?¢縺ェ縺 蜴滓峇?壹が繝ェ繧ク繝翫Ν」

大学生が失踪してしまったニュースを流しています。そして、ブックレットにはVtuberがいなくなった様子をSNSで噂している状況を示しています。

凋叶棕「れいわのサナエさん」

フルボッコにされたであろうサナエさんがどこかに行ってしまいました。蛙の鳴き声(洩矢諏訪子)と蛇が這う(八坂神奈子)音と風の音だけが聞こえある場所にいきました。そして、恨みがある人?の後ろに立ちます。

「人狼」の獣に立ち向かう者たち。

「人狼」としてあの敵を叩き潰せと指弾されました。しかし、幻想少女は様々な形で立ち向かいます。立ち向かうさまが「SPACE MIKO」「ツキノオトシゴ(表)」「unseen yet」「Pikinini Kumul(表)(裏)」の4曲5つの世界です。ツキノオトシゴとPikinini Kumulは2つの意味を重ねています。

凋叶棕「SPACE MIKO」

1つ目の立ち向かい方です「人狼」に対し敵として戦う曲です。霊夢は襲い掛かる奴を次々倒しています。笑顔で地獄をわたっていきます。支えられるのは祈りと執念。つまりは自分が正しいという宗教じみた思いでしょう。

凋叶棕「ツキノオトシゴ(表)」

2つ目の立ち向かい方です。離れて一人静かにたたずんで休む曲です。日常を生きますが過去の惨劇の記憶で眉根寄せます。休んだ甘い菓子に対して指弾される現実が辛い。それでも眠るのがいいでしょう。

凋叶棕「Folie a deux」


Folie a deuxとは感応精神病という一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有する病気です。何らかの失態を冒した人について叩き潰さないとならないという妄想。妄想が感染して広がっていく様子を示していきます。

凋叶棕「unseen yet」

3つ目の立ち向かい方です。「現実の相互作用、今こそ物語らるる時」という歌詞と次のPikinini kumulから見ると惨劇を創作に繋げるという曲かもしれません。痛い目を見てこそ人間の裏表がわかります。創作こそが夢を汚す者への復讐となります。

凋叶棕「Pikinini Kumul(表)」

4つ目の立ち向かい方です。何かしら周りと違うために攻撃されることがあったのでしょう。しかし、新しい居場所を求めて行動力を増やし、翼を生やし、高く新しい地へ旅立っていきます。受けられる場所があります。

凋叶棕「Pikinini Kumul(裏)」

5つ目の立ち向かい方です。惨劇として周りの人と違う存在として見世物になりました。しかし希望へと続かせる物語の語り手となったようです。今の自分を作るのは親や周りの環境ゆえのこと。そして羽ばたいていきます。

凋叶棕「Vanishing Night/Good Night」

タイトルで意味を語る曲です。悪夢が消え、良い夜となりました。ラスベガスを思わせる明るい舞台のような曲です。過去の失態や敵として指弾されたことは過去の物になり、明るい舞台を作る人になりました。

凋叶棕「■」

文明を進化させて照明が輝く明るい社会になりました。しかし、自分が優れた人間だと思い、正義を為す人間だと思いたい。その感情の暴走が敵を見つけて叩く行為の裏側です。わからない物を叩く人間は口を噤んでろという話です。

噤ブックレット最終ページ

 いかにも疲れていそうに夜道を歩く人間が鵺の影を持ちます。疲れると刺激や敵に反応しやすくなります。今の社会はSNSでの刺激や、情報過多で疲れやすくなっています。どこかで離れて疲れを抑えないとあの敵を叩けばいいという醜悪な獣になるだけです。

まとめ

噤は現代社会は明るくなりつつも、異物を排除し、敵を叩くという正体不明の感情ゆえに人を叩く世界。一方で、叩かれた人間も時に自分を信じて戦い、時に逃げて休み、時に創作として消化するというアルバムではないでしょうか?














凋叶棕「ツキノオトシゴ(裏)」

ツキノオトシゴは表面的には嫌なことを想いつつも一人休む曲です。もう一つ裏側の意味があると思います。ツキノオトシゴは妊娠した子供です。相手に言えず「何より甘い」が「現実が辛い」関係を続けます。ツキノオトシゴ(裏)の解釈を取った場合、ツキノオトシゴ(裏)から「人狼」の惨劇に繋がります。


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