好き感度

好きな食べ物、なに?

私が恐れている質問のひとつ。

だいたいみんな、3秒ほど考えた後に、おすし、とか親子丼、とか、一つに絞って答えることができる。

会社の先輩など、死ぬ前に牛タン食べられたらそれでいい、と言ってのけた。

死ぬ前に、最後、なに食べたい?

これは、好きな食べ物なに?よりも恐れている質問だ。
そんなの、そんなの決められるわけがない。
みんなはいつどうやって、そんな重大な質問の回答を用意してるんだろうか。

大抵の大人は、大抵のものを美味しく食べられるものだ。
自分が慣れ親しんだ環境にある食べ物など、大体美味しいに決まっている。

そうやってみんな、おいしいおいしいとなんでも美味しそうに食べるくせに、
どうしていざとなれば「好きな食べ物」をひとつに絞れるのだろう。
私にはできない。

私だって、そばよりうどんかな、でもうどんはうどんでも天かすは嫌いだしな、いや、一食でうどんオンリーで食べるとなるとまあまあ飽きるかも、いやでも炭水化物単品でならダントツうどんかな、
とか、そんなぐるぐるを全部すっ飛ばして、好きなものは好きと言いたい。
でもそれがどうしてもできないのだ。

そんな悩みを抱えながら生きるなかで、そろそろ私も「好きな食べ物」を用意すべきだろうと考え、スマホのメモ帳にランキングを作り始めた。
美味しいと思うものを、より美味しいと思う順に並べてゆき、
そのランキングを随時更新してゆく。
これで、一年後くらいには、自分の味覚の傾向が掴めているだろう、という算段だ。

どう考えたってまわりくどいこのやり方が、
私には必要なのである。
私は何につけても、すぐに答えを出せない、全て延ばし延ばしにしてしまう。

このように私は、自分の「好き」がわからない。
好きなアーティストとか、
趣味とか、本とか、服とか、全部わからない。

あれもすき、これもすき、と言っている人を見ると、私は、その人の「好き度合い」を推しはかろうとする。

その人が「それ」を本当に愛しているかどうか疑うためではない。
どれくらい「好き」な場合に「好き」と言っているのかを知って、参考にしたいからだ。

また、「ちょっと好き」から「好き」に移行するのが難しいと感じる。

身の回りに、同じ「それ」に対して「ほんとに好き」な人がいたらどうしよう、申し訳ない、にわかだと思われる、
と思ってしまうからだ。

みんな本当に「好き」なんだろうか。
「好き」と言ってのける段階が人によってあまりにもバラバラという、ただそれだけなんだろうか。

私もすきすきすき、って言いまくりたい。

悲しいことに、
嫌い は直感的に、すぐにわかったりする。

その代表格は、カマキリだ。
文字面をみるだけでも辛い。

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