リアルなパクリ事情
専業主婦からアルバイト主婦へ移行する頃に、少しだけ在宅webライターの仕事をしたことがある。
主にファッションの記事。1記事目はテストライティングで、問題なければ登録できて、出社は一度もしない。専用のサイトに、書き手を募集中の記事のタイトルがアップされて、それを書くという仕組み。
しばらく細々と記事を書いていたら、だんだん募集の案件が少なくなって早い者勝ち状態になり、案件がアップされる時間帯にPCに張り付いていられない私は記事を受注できなくなってフェードアウトしてしまった。
キャリアになるほどの本数は書いていないけれど、一応記事のURLは保存してあった。でも、私が書いたような記事はある程度の期間が経つと見られなくなる。だから、まだ見られたらプリントアウトしておこうかと思い立って検索してみた。・・・残念、ちょっと遅かった。もう、半分以上の記事は見られなくなっていた。
ファッションの記事だから、流行に合わせて同じようなテーマで毎年記事の中身は更新されていく。沢山のサイトが同じようなテーマの記事を載せている。私が書いたのと似たテーマの新しい記事をなんとなく見ていたら、私が書いたのとそっくりな文章が。
「え?これ、私が書いた記事?」
もう一度読む。文がそっくり。というか、私が書いた文だ。自分が書いたものは覚えている。クセもあるし。画像は、新しいものに差し変わっている。だから、写真の説明など細かい部分は変えてある。私が書いた元の記事はもう見られなくなっている。
本当にこんなにあからさまにコピペされることってあるんだ。手作り品をネット販売している友人が、デザインはもちろん、商品説明の文章までコピーされることが頻繁にあると話してくれたことがある。その時はあまり身近なことだと感じていなかったが、今はもう自分ごとだ。
なんだか、不愉快な気持ちになってPCを閉じた。
誰かが、ネットの世界のどこかで私が試行錯誤して書いたものを素知らぬ顔で自分のものとしている。ずるいヤツ。
ああ、私の血の気の多い部分がまた出てきている。穏やかなはずの自分の時間を、不愉快な気持ちで満たすのは嫌だ。
コーヒーをゆっくり飲んで、考えた。
コピペした人は、自分で書けないなんて哀れな人かもしれない。せっかく自分が表現できる場があるのに人のものを使うなんて。だいたい、私が書いた時と流行だって変わっているのに同じ文を使うのはナンセンスだ。
それに、似た記事が数多くある中で私の書いたものをコピー元に選んだのは、もしかして私の文が良かったから?だとしたら、まったくの無名ライターとしては光栄なのかも?
ビスケットを3枚食べ終わる頃には、ヤカンのように湯気を立てていた気分が落ち着いてきた。(わりと単純。)どうにか大切な午後のひとときをダメにしないで済んだようだ。
(・・・でも、本当はちょっと気分が悪いけれど!)