五感とハートで話すように書いてみる【絵日記の文を書く時におすすめ】
以前「読む」をちょっと置いておいて普段の言葉で話すように書いてみたら楽しいかも!ということを書きました。
国語が嫌いな男の子に「書く」の話をした時のことでした。「犬がいます」という文にどんな犬かを表す言葉を足していくと表現が豊かになるよ、というのが前回のお話。今日はその続きです。
犬がいます。→ふわふわでかわいい白い犬がいます。
主語と述語だけの文にどんな言葉を足せばいいのでしょうか?
それは、五感+ハートです。
五感(見たこと、聞いたこと、触れたこと、嗅いだこと、味わったこと)
ハート(思ったこと、考えたこと)
一見、当たり前のことですが、子どもたちの書いたものを見ると意外に書いていないのです。それが一番よくわかるのが夏休みの宿題の日記や絵日記です。
例えば、
今日、遊園地でジェットコースターに乗りました。すごかったです。
この「すごかったです」って、小学生がとてもよく書きます。「すごかった」の中身を書くだけでずっと臨場感が出てきます。
「すごかったんだね。」
→「すごかった」と書いたことを、まず認めてあげてください!いきなり「すごかったじゃだめだから、書き直して!」なんて言うと、そこで書く気が萎えてしまいます。
「へえ、そのジェットコースター、すごく大きかったの?」
→たぶん「すごく速かった」か「すごくこわかった」だな、と思ってもわざと少し外したことを言います。すると子どもが「ちがうちがう!」と自分の言葉で説明してくれます。
「まず高く上がってそれから急に落ちて、すごくこわかったんだよ。」「じゃあ、それを書いてみようか。」
今日、遊園地でジェットコースターに乗りました。最初は高く上がって、それから急に落ちてすごくこわかったです。
これだけだと、ジェットコースターが怖くて嫌だったのか、楽しかったのかわからないので「こわくて、もう乗りたくないの?」と、ちょっと聞いてあげると「こわかったけど、面白かった。また乗りたい!」などと反応が返ってきます。
今日、遊園地でジェットコースターに乗りました。最初は高く上がって、それから急に落ちてすごくこわかったです。こわかったけどおもしろかったので、また乗りたいです。
最初の「すごかったです」だけよりも、ジェットコースターに乗ったときのことがずっとよくわかる文章になりました。
かき氷を食べたことも、ジェットコースターに乗ったことも、おばあちゃんの家に行ったことも全部「すごかった」で済ませてしまう子も、ちょっと聞いてあげるだけでたくさん言葉が出てきます。
(自分の言葉が出てくることが大切なので、大人がお手本を言ってそれを書き取らせるのはやめたほうがいいと思います。)
いちにちの終わりに、今日あったことの「お話し会」みたいにその日の出来事がどうだったかを聞いてあげれば、言葉が湧き上がってきて日記もスイスイ書けます。特にハートの部分(どう感じたか)は聞いてあげることをおすすめします。子ども達は、その日にあったことがどうだったか家族に聞いてもらうのをとても喜びます。気持ちを聞いてあげたら、その場では言えなかった気持ちや、親にはわからなかった子どもの心の中を思いがけず知ることもあるのです。それは子どもだけでなく、親にとっても素敵な時間になるのではないでしょうか。
次男に手がかかって日中は長男のことをよく見てあげられなかった時期がありました。その時、宿題の日記帳を広げて座る時間は私にはとても大切な時間でした。長男が何を見て何を考えていたか、それを聞くのがとても楽しく嬉しかったし、ひとりでこんなにも一生懸命だったことに私は気づいていなかったのかと時には反省させられたりもしました。
その後は、次男にも宿題が出て、話をしたり面白い絵を描いたりしながらワイワイやるようになりました。(最後の方は、私はちょっと邪魔だったみたいです。楽しくなって「ねえ、ねえ、それで!」なんて言っていたら「ちょっとうるさい。」って言われました。)
慣れてきたら「お話し会」がなくてもひとりで書けるようになるでしょう。