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幼児教育コーディネーターってなんだ
こんにちは。津和野町幼児教育コーディネーターの眞家夢乃です。
もう冬は終了していただいて構わないなと思う日々ですが、まだまだ寒さが続いていますね。いかがお過ごしでしょうか。
幼児教育コーディネーターとして働き始めて1年と10か月。ようやく重い腰をあげてnoteを始めようと思います。
なぜ重いかというと、シンプルにキャパオーバーでして、Instagramの運用だけで手一杯となっている状況だからです。
ただ、外部からの問い合わせが増えていることもありますし、自分がやっていることを名前で残していかないとAI時代に適応されないなと思ったので、始めることにしました。このへんはまた書きます。
あまり堅いものにはしたくないので、基本的には話し口調で、気軽に書いていこうと思います。お付き合いいただける方はフォローを、読んでみて何かしら心が動いた方はいいねボタンを押していただけると喜びます。
よろしくお願いします。
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1.幼児教育コーディネーターが配置された背景
最初の記事ということもありますので、幼児教育コーディネーターが配置された背景について紹介しようと思います。名称が長いので、これ以降は幼児教育CN、もしくはCNと記載しますね。
まず、私自身は2代目です。1代目のCNは令和2年度から3年間、活動していました。基本的に彼は0→1担当で、今行っている保育者向け研修の土台を作ってくれました。
教育移住を増やすことを目指して0歳児からの保育料無償化にも尽力した人物です。とくかくよくしゃべる、趣味「議論」のような。保育領域への解像度が非常に高い、陽気な男性です。
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福岡出身で、都内で保育士をしていた彼がなぜ津和野町にきたかというと、当時町内で盛り上がっていた教育事業の中で、幼児教育まで手を伸ばそうという動きがあってのことだったそうです。彼が大学時代に出会った方から声がかかり、ここでの活動に期待をもって住所を移したようでした。
幼児教育サイドはというと、県や近隣市町村による保育協議会から脱退したい思いがありながらも、脱退すると研修がなくなってしまうという課題があり。さらに、人口規模の小さい町でありながら隣の園がどんな保育をしているのか全く見えない状況で、それを打破したい気持ちもあったようです。
行政の中に幼児教育CNという役職を設置することで、これらの課題を解決しようと動いた、ということが背景となります。園同士を繋ぐ。そして園と行政を繋ぐ。そこが出発点だったようです。
この時点で「幼児教育コーディネーター」という名前を使っていたのは津和野町のみで、まさに先進的な取り組みであったといえます。
2.幼児教育コーディネーターの仕事内容
じゃあ実際に今は何をしているのかという話ですね。町内園の紹介もしつつ、私の動きについて書いてみようと思います。
まず、朝出勤する場所は津和野町役場の津和野庁舎です。庁舎が2つあって、自宅はもう一つのほうが近いんですけどね。自分のデスクもあります。基本的には一旦出勤し、手動でしか窓が開けられないタイプの公用車に乗り換えて各保育園を回っています。あれ、助手席の窓開けるのほんと大変なんですよね。
町内に幼稚園はなく、保育園は7園。公立が2園、私立が5園。そのうち1園はもりのようちえん型の認定こども園です。ここへは山道を進まないと辿り着かないので、「無事通えるか」が移住へのハードルを相当上げてました。なんといってもペーパーゴールド(運転してなさすぎてゴールド免許)だったので、それはそれは不安でした。
実際、最初の頃、初めて一人でうしのしっぽへ行こうとして遭難しかけました。忘れもしません。
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今では人を乗せられるように・・・成長しました。
どの園も規模は小さく、それぞれ9名~37名の子どもたちが通っています。全体数は140名くらい。少ないですよね。人口6300人で高齢者率は50%超えてますからね。こうなります。職員構成としてはパートさんが圧倒的に多いです。こちらへきたときも「正規少な!」と思いましたが、今でも思います。
そして私はというと、現場の保育や保育者の皆さんの姿を見て「もっとこうなったらいいな」というポイントを抜き出し、研修の設計等をしています。
研修といっても、座学だけではありません。県外園への視察出張は年2回。だいたい1泊か2泊。町内の保育士さん全体に声をかけて、挙手制。私立の場合、法人本部からGOが出たら行けます。
私は選定からアポ取り、当日の案内までを担っています。普段は言いませんけど、これがなかなか大変。全く別の園を回るわけで、日程調整には結構苦戦します。
これまでお邪魔したのは
神奈川県の鳩の森愛の詩瀬谷保育園さん
東京都の上町しぜんの国保育園さん
静岡県の野中こども園さん
熊本県の荒尾第一幼稚園さんと、からたちこども園さん
鳥取県の仁慈保幼園さんと、赤崎こども園さん
ですかね。
毎回違う学びがあって、私自身も楽しんでます。むしろ私が一番楽しんでるかもしれません。
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毎年2月に行っている「保育展」は来場者100名超えの実践発表会。今年は今の写真にもあった熊本県荒尾市の荒尾第一幼稚園から宇梶園長と彩希先生、東京都の社会福祉法人東香会から青山誠さんをお招きして行いました。このあたりも、全体の運営を担っています。
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企画からチラシの作成からお誘いから・・・町内園の発表資料をチェックして、表現を直したり、あれこれ作ったり、調整したり。全体の企画をどうするかは今回かなりAIに助けてもらいましたが、どうしても完璧にとはいきません。それが悔しい。
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さらに、今年度から保育士インターンの受け入れを始めました。2週間程度滞在してもらって、保育に入ってもらったり、私の手伝いをしてもらったり。都内の疲れてる保育士さんたちに絶対ハマると思ったんです。町内の保育士さんたちも「津和野にはなにもないけぇ」というので、そんなことないことに気づいて欲しくて。お互いにとっていいのでは?と考えたのがこれでした。
そちらもなかなか好評で、問い合わせの対応からスケジュール決め、各園との調整、当日の案内や懇親会の企画などを諸々。
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あとは月1の園長会へ参加したり、架け橋事業の会議に出たり、町のこども計画に少し携わったり。ちょこちょこ動いている感じです。
自分の知識を増やすことも並行で行っていかないとだんだん貯金がなくなってくるような感覚になるので、色々な場所で情報を集めるようにはしています。趣味みたいなもんですけどね。
地域おこし協力隊の制度を利用して配置されている役職なので、稼働できるのは月16日。少ない中でどれだけできるか・・・みたいな感じです。
3.コーディネーターの面白さと難しさ
CNになる前は、都内の現場で保育をしていました。その傍ら、家庭での子どもの姿が気になってベビーシッターをやってみたり、仲間集めのためにイベントを企画してみたり、大学でちょこっとお話をさせてもらったり。
今思えば、保育に絶望した過去を胸に基本的にはなんとかなるだろうと思って動いてきたなと思います。
CNになって最初の1年ほどは役職的には孤独でした。現場の保育者さんたちは温かく迎え入れてくださったものの、私と入れ替わる形で小学校や中学校のCNがいなくなってしまい、いわゆる外部から教育に関わる人の人数がガクッと落ちた年度でした。誰に相談すればいいのか選択肢がすごく少ない状況で、なかなか抱えていたなと思います。
ただ、仕事の内容もスケジュールも基本的には自分で決められる環境は性格にも合っていて、未来を予想しながら今を積み上げていくような過程は面白く感じています。現場の保育士さんが変わると、自ずと子どもの顔も変わってくるんですよね。その様子を見ると「あー、よかった」って。そんな気持ちになります。
「ちょっと今からきて」と呼ばれることもそれなりにあり「今無理!夕方でもいい?」みたいに返してますが、ちゃんと必要とされていることを感じられてありがたいです。なんかあったときにとりあえず相談してみよう、と思える人が外部にいるのは、現場としてはありがたいですよね。私も現役の時にいてほしかった。
と、面白いことが大半ですが、なかなかしんどくなることも。現場と関わっているとどうしても出てくるのが人間関係の相談。その難しさには頭を抱えます。保育現場あるあるだと思うので仕方がないと割り切っているにせよ、相談窓口になりすぎるのも違うような・・・など。
でも結局、私が目指したいのは「子どもにとっても保護者にとっても保育者にとっても良い園づくり」なので、避けては通れないのです。結局は「人と人」ですしね。
さらに、過疎地ならではの地域課題も降ってきます。子どもの数はびっくりするほど減っており、すぐ隣に統廃合の可能性がある状態。進みそうで進まないモヤモヤを各園の保育者さんたちと一緒に抱えている感覚。考えれば考えるほど、まちづくりにも関わってくるので難題です。この地域が困っていることを解決していけばいいだけの話ではあるんですが、この分野の知識はなく、アイディア探しの日々です。
SHIROの今井さんと元NewsPicksの泉さんがやられている「タビシロ」っていうポッドキャストが好きでよく聞くんですけど、そのあたりからヒントをもらって自分の中に積み上げている最中です。
4.個人的に抱えている葛藤とその解決策
保育所のマネジメントって、すごく難しいなと思うんです。保育所や幼稚園ってだいたいが現場から管理職にあがっていくわけなんですけど、現場と管理職では頭の使い方が相当変わってくると思うんですよね。
「保育者は子どもをみて、園長は職員をみるのよ」ってえらそうに伝えてはみているものの、「本当は現場にいたい」という思いのまま園長になった方はやっぱり子どもが気になるし。園長が園長なりの想いを、熱意を発信していかないと職員はついてこないけど、でも保育者の数は確保しておきたいし。
7園あって、津和野には8人の園長先生がいるのでそれだけの数悩みがあるのです。もっと寄り添いたいけど、どうしても時間と体力的に中途半端になってしまう。このあたりが葛藤です。
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と、ここまで書いて、しんどさばっかりが伝わっていないかと心配になってきました。いや、しんどいのはしんどいんです。保育のかたちって正解がないから、ずっと悩むんですよね。目指していた場所が見えてくると、突然違和感を覚えることもある。あれ?これでいいんだっけ?と。
これは園としても同じなんだと思うんですよね。このモヤモヤをいかに園内で共有して、自分たちなりの納得をみつけていけるか。
正解なんてないから。それぞれの園がもっている条件を、むしろ武器にして、自分たちの腑に落ちる形を模索していく。そこに地域も保護者も巻き込んで、あーだこーだいいながら、でも面白がって進んでいく。
そんな町になったらいいんじゃないかなって思います。
良い人ばっかりだから。きっともっとよくなります。
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また書きます。