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【桜色の望郷】文筆家のふるさと_ふるたみゆき

うさぎ追いしかのやま君。小鮒釣り師かのかわ君。

大学進学を機に東京へ来たふるたですが、ふるさと京都の小学校時代の思い出はたくさんあります。

たとえば、うさぎ追いしかのやま君。
そう、京都市立音羽川小学校 第99期に在籍していた、叶山祥吾(Syogo KANOYAMA)君です。
彼は3年生にして、校内で最も過酷といわれるうさぎの世話係に任命され、6年生まで立派に役をつとめました。寡黙な人でした。よく学校の裏山で、逃げたうさぎを静かに追っていました。うさぎに食べさせるために四つ葉のクローバーを探し回り、その過程で弥生土器の一群を発見して一躍有名人に。卒業文集で彼の詠んだ、

『朧月夜 月を眺むる うさぎかな』

という自由律俳句が印象に残っています。
卒業後、中学校を中退してペルーに渡り、「鳴る土器」を探究する考古学の道に進んだようです。

そしてもうひとり忘れられないのは、小鮒釣り師、かのかわ君。
鹿野川 亘(Wataru KANOKAWA)君は幼少のみぎりより、釣り師として琵琶湖で名を馳せていました。
琵琶湖疎水で稚鮎を釣る方法を教えてもらい仲良くなり、小学校卒業後の春休みに初めてのデートをしました。よく笑う人でした。彼の発刊した釣り雑誌『FURU-SATO』に寄稿文をお送りしたのが、おそらく最後に連絡を取った時だと思います。

ふたりとも元気にしているかしら。
彼らの居た風景は今も夢に巡りて、忘れがたき故郷です。

【プロフィール画像】ふるたみゆき_3
ふるたみゆき(企画・脚本)


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