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【夢色の浮橋】文筆家の橋_ふるたみゆき

「橋」という言葉から、皆様はどのようなものをイメージされますか。
ふるさとの川に架かる橋。能舞台の橋掛かり。虹。横断歩道。あるいは、誰かへ届ける歌。
いずれも「橋」とは、遠く離れた何かと何かをそっとつなぐものだと思います。ピアノ独奏曲『夢の浮橋変奏曲』も、そのようなコンセプトから生まれました。

『夢の浮橋変奏曲』は、ふるたみゆき著の音楽小説『旅するピアニストとフェルマータの大冒険』に登場する楽曲です。
物語の中では主人公・鍵一が作曲するピアノ独奏曲になります。モチーフは、数千年にわたり音楽家たちに受け継がれてきたという幻の名曲『夢の浮橋』。12曲の変奏はそれぞれ、鍵一が19世紀の旅で出会う人々(と猫)の肖像を表しています。21世紀に(ワープをして)戻って来た鍵一は、心を結んだ19世紀の人々(と猫)の思い出を、五線紙に書き留めます。遠く離れていても、曲を弾けば会うことができる。曲を通じて、自分と相手に淡く美しい橋が架かる……それが、鍵一にとっての音楽なのです。

ふるたがこの曲を着想したのは、2019年の秋でした。この曲の具現化について思案していた2020年の春、才能豊かな音楽家おふたりに「橋を架ける」ことができました。作曲家の神山奈々さんが制作を、ピアニストの片山柊さんが演奏・監修を引き受けてくださり、2021年7月には片山柊さんのピアノリサイタル(青山音楽記念館バロックザール・京都市西京区)にて初演を開催する運びとなりました。
ご来場くださった方、広報にご協力くださった方、応援してくださった方々へ、心より御礼申し上げます。

ふるたみゆき(企画・脚本)

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