家の話

まとまりがなくなりそうな話だけれど、人間関係を見直すために書いてみようと思う。

地元は山梨県の田舎の方。富士山が近く、個人的にはとても気に入っているこの地域で生まれ育った。父も母も、祖父も祖母もずっとこの地域で育った。だから、東京を知らない。田舎しか知らないのである。

母は、倹約家で時間に厳しい。私や妹が時間にルーズだから、自然とそうなってしまったのだろう。父は、優しくてユーモアがある。ただ、他人に厳しく、自分には甘いタイプだ。両親は仲が良いことも無いが、悪い訳でもない。それなりに上手くやっている。パート勤務と工場勤務で私立大学に2人も進学させられるんだから、相当頑張っている。あったかいご飯とお風呂があるし、猫も飼っている。世間的に見れば良い暮らしをしている。欲しいといえばそれなりのものは買って貰えるし、言わなくても買い与えてくれる。本当に良い親を持ったと思う。裕福では無いが、貧乏ではない生活を送らせてもらえている。

昔はというか、私が高校生の頃はよく両親に殴られていた。思い返すほど私が全面的に悪いことはわかっている。お金のことや生活のことなど、私が世間を知らなさすぎたし、私も自己中心的であったと反省している。むしろ、よく両親はあんな私のことを生活させてくれていたなと思うくらいだ。ただ、首を絞められて死ねと言われた時のことは、今でも嫌な記憶として私の夢に登場する。

大学生になって一人暮らしを始め、どれだけ親が頑張ってくれていたか、苦労していたかわかるようになった。分かるようになってしまったから、もうわがままもろくに言えなくなってしまった。私の一言で家計が苦しくなる、そうすると母と父は喧嘩をし、空気が悪くなる。わたしは両親とよく喧嘩をしていたから、喧嘩している時空気が本当に嫌いですぐ苦しくなってしまう。殴られていたのにはそれなりの理由があるから、他人に、殴る方が悪いよ、と言われる方がムカつくのであるが、実際殴る方が悪い。でも、背景がある。私が悪かった。だから、殴る両親は悪くない。

両親のことは大好きだ。妹も猫も、家族全員大好き。だからこんな自分が許せなくて、嘘をついてしまう。単位は大丈夫だ、お金も何とかやっている、辛くないよ、と言ってしまう。ひとつも上手くいっていない。でも、相談したら、両親は必ず私を殴る。もうあの空気に耐えられないのだ。

私がちゃんとしていれば、両親も怒ったりしないのだ。私がちゃんとしていれば、の気持ちで嘘ばかり。嘘嘘嘘。さすがに苦しくなってきた。もう進級もできないかもしれないところまで来ていて、嘘もつけない。つくしかないのだけれど。

話が逸れたが、そんな両親の元に育った私には、大好きな祖父がいた。父方の祖父である。日本酒が好きで、孫の私を可愛いと大きな手で頭を撫でてくれた祖父が、去年の秋に亡くなった。長生きしたと私は思うが、祖母はあと5年生きていてくれたら、と毎週話をする。良い祖父だった。

そんな祖父には、でっかい癌があった。進行度合いが早く、何度も病院に行った。近くの病院では診てもらえなくて、車を走らせ峠を越え、時には県もまたいだ。

祖父には遺産があった。何千万のお金を残して亡くなった。その遺産と、祖母がまだ住む家を、長男一家が乗っ取ろうとしている。

父は男3人兄弟の末っ子だ。孫も女しか産まれなかったうちは、遺産相続やらの話はなく、穏便にすんでいる。女でよかったとこの時ばかりは思う。

長男には家族があるが、それは空中分解していると言っても良い。長男は単身赴任で愛知、嫁はパートを辞めては休み、新しい職を探してまた辞める。そんな暮らし。祖父の孫にあたる息子3人(ここの家も男3人)の長男は、就職したのをいいことに祖父の家を陣取って毎日やりたい放題している。彼女を連れてきて、祖母にご飯を作らせる。なんて腹立たしい。

単身赴任中の長男は遺産が全部自分のものになるのだと思っているのか、横柄な態度でうちに接する。気持ち悪い。

次男は、独り身である。顔の良さと人柄で女を取っかえ引っ変えしているが、もう50歳である。怖い。女とのトラブルが多すぎる。女に病気をでっち上げられたり、殺されかけた、助けてくれと女は言いふらしたりで、次男は精神衛生センターに運ばれるところまで行った。頼りがいのない男である。

三男はうち。それなりの家。前に説明したから後略する。

そんな複雑な家だから、祖父の看病はほぼ三男であるうちがやった。しかし、家を継ぐのは長男である。祖母は、長男への不信感が強い。毎週のようにうちへやってきて、長男の愚痴を聞かされるのである。祖父が居なくなり話し相手がおらず辛い祖母の気持ちもわかるが、正直きつい。歳のせいか分からないが、かびたパンや腐りかけの食品をうちに押し付けてくるのである。本人は善意むき出しだから、断ることも出来ないのだけれど。そんな祖母を嫌いつつも、長男一家が嫌いだと言うところで話が合致している両親は、よく愚痴大会を開催する。長男がなんだ、遺産がなんだと話をしていると飛び交う罵声。話を聞いていればいるほど、本当に嫌になる。祖母の話を聞くフリして、祖母を嫌っている母は、嫌そうな顔をしてこっちを見てくる。祖母は、大学がどうだとか、あなたは太っただとか、いらない私にも詮索する。もうやめてくれ。

両親のことは好きだけれど、そうやって他人を卑下する姿が、本当に気持ち悪い。好きになれないなと思う。でもこれがうちである。他人を見下すことでしか褒めるということが出来ない。可哀想だ。でも、大好きだ。

わたしは、どうすれば良いのかわからない。

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