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山田家物語 第6章 「港湾課勤務」

(注)これは #ペクトラジ  の続きです。
 
港湾課は「非常にゆるい勤務」だった

任務は、港湾に不審船がいないか
見張りし、不審船らしきものがいたら
本庁にれんらくするのであるが
不審船など、ほぼ皆無である。

主業務は、韓国船(漁船)が立ち寄った
際の給水係である。
漁船の飲料水を補給するため
ポンプで水道水を給水し
メーターを計測し、既定の料金を
徴収するのである。

ここで金一はまた困ってしまった。
相手は日本語がほとんど通ぜず
ハングルである。
金一は、ハングルは判らないので
なんとか身振り手振りで
対応していた。

ここでまた金一の勉強が始まった。
金一は何に対しても「潔癖症」である。
その勉強方法が一風変わっていた。
当時、市内を歩く、木綿のチョゴリ姿を
見つけると、話しかけるのである。

市内でも韓国女性は、伝統衣装の
チョゴリを必ず着用していたので
一目で韓国人と判るのである。

そんな韓国人に対して市中で
小石を投げつける市民も出るほどである。
そのような目にあっている韓国人女性に
対して親しく接してくる金一に好感を
もったのか、身振り手ぶりの会話が
始まった。

そのような勉強を重ねるうち
何と金一は、カタコトながら
ハングル語もマスターしたのである。
 
これで金一は港湾課の職員や上司(課長や係長)
などにも、絶大な信頼を受けることになる。
港湾課の仕事は続くが、途中入社の金一は
出世することもなく、いつまでも平だった。

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