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マイライフ:第8章:「出張所分裂」

年が明けると所長が
「みんな重大な話がある」
といって全員集めました。

「わしは新会社を設立したので
希望者は順次移動してくるように」

「はあ?、新会社?」
自分の耳を疑いました。

これは出張所員が本社に恨みをもつために
所長に懇願したクーデターだったのですね。
最大の理由は、
東京出張所は本社の給与だけでなく
わずかながら「出張所手当」が支給
されていたのですが、博多と東京では
物価が格段に違います。
そこで毎年、手当の増額をしてくれと
本社に嘆願していたらしいのですが
本社はその意見を無視し続け
出張所員の不満が鬱積していたらしいのですね。
 
新会社は年度明けの4月から開業との
ことです。
先輩たちはこの案件については
自分たちが希望したことなので
十分承知していました。

何も知らないのは、新入社員4名のみです。
大卒は私のみで残りの3人は高卒です。

部長が「お前はどうする?」と聞きましたが
「私はいまの会社にはいったのであって、新会社に
行くために入社したのではありません」と
丁重におことわりしました。
 

新年度ともなると、まず部長が転任しました。
所長は「しばらく残らないと出張所がつぶれてしまう」
ということで、1年以上出張所にのこり
新会社は部長がリードしました。

そこで、他の部長Aさんは
残りの出張所員を転属させるための
説得役をかって出て、ひとりひとり個別に部屋に呼び
新会社転勤を説得し始めました。
私も再度呼ばれましたが、私の意思はかわりません。
 
ところがそこで事件が起こりました。
新会社の部長が「A部長を転入させるなら
私は辞める」と言い出したのですね。
実は二人は犬猿の仲だったのです。
所長は新会社部長に絶大な信頼を
寄せていたため、一転してAに新会社
転勤拒否命令を下しました。
一旦は気落ちしたA部長は、こんどは一転して
みんなに「出張所残留説得係」にまわりました。
高卒の3人のうち2人は残り、1人は辞めて
九州に帰りました。
 
新会社も一度に転勤させるとまずいので
1年がかりで順次転勤していきました。
そして1年後、残りのメンバーはわずか10名未満
そして、所長の任期も切れかかったころ
交代として新任所長Mさんが赴任されました。
 
 
添付画像は中野の公園。


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