私のサンタクロース
「サンタクロースはいると思いますか?」と聞かれたら、「いる」と答える人は何人いるでしょうか?
私は子供の頃からサンタクロースは大人のなりすましだと思っていました。だって、街には偽物のサンタクロースが、たくさんいたから。
プレゼントも親が買ってくれたものだと何となくわかっていましたし、私の家は貧しかったので、ブーツに入ったお菓子と、朝には枕元にささやかなプレゼントがありました。それも低学年までの話です。
ちなみにサンタクロース以外の架空の人物は信じていました。
さて、その私がサンタクロースを信じるようになり、愛してやまない存在とまでになった理由は、サンタクロースの物語を書いたからです。
なぜサンタクロースを書こうと思ったのかというと、私があるサイトで童話のコミニティを開設していた時に、クリスマスの題材を出したのが始まりででした。
クリスマスといえばサンタクロース。
そう思ったら物語がどんどん溢れ出てきて、あっという間にサンタクロースの物語が出来上がりました。
おかしなことに物語を書いていく内に自分自身がサンタクロースのファンになってしまいました。それからというもの私の中に本物のサンタクロースが住み着いてしまったのです。そして、サンタクロースは一年中私を見守ってくれています。
寒いサンタの国のサンタクロースは優しい顔をした陽だまりみたいな人で、ふくよかな体とふわふわした白い髭は触れるだけで心地よく、心を満たしてくれます。サンタクロースは愛に溢れ、夢と希望を与えてくれる存在なのです。物語の中ではサンタの国の住人たち(小人·妖精·魔女)と奮闘する姿をえがきました。
*物語の一部分をご紹介します*
サンタクロースのひげ
サンタ工場の中では、小人たちがせっせと動き回っています。
サンタクロースがひげを三回引っ張るとプレゼントが現れ、それを小人たちがきれいに箱に詰め、ラッピングをしてリボンをかけています。
お日様が傾きかけてきた頃、サンタクロースが言いました。
「子供たちのプレゼントもあと少しだが、残りは明日にするとしよう」
サンタクロースと小人たちは大きく背伸びをして一息ついてから、帰り支度をはじめました。
「今日も頑張ったね」
「うん。おなかすいたなぁ~。今日の夕食は何かなぁ」
「ぼくはシチューが食べたい」
小人たちはそう言いながらそれぞれの家に帰って行きました。
さて、サンタクロースの家では、小人のパイパイが夕食を作っていました。
ひと仕事を終えて帰って来たサンタクロースは、お腹がペコペコです。
「お腹が空いて死にそうだ。パイパイ、夕食はまだかい?」とキッチンにいるパイパイに聞こえるようにサンタクロースが言いました。
キッチンで器用にフライパンを転がしていたパイパイは「もうすぐ出来ますから」と返事をして、こんがり焼けた料理を皿に盛り付けています。
キッチンから香ばしい匂いがして来てサンタクロースのお腹もグゥーと鳴り、ますますお腹が空いてきました。
サンタクロースはテーブルの上に頬杖を突いて、もう片方の指をコツコツと鳴らしながら料理が来るのを待っていると、テーブルの上に赤い実がひとつ置いてあるのが目に入りました。
あまりにもお腹が空いていたサンタクロースは、その赤い実をつかむと何も考えずにパクッと口に入れて食べました。
すると突然、自慢のひげがポロリと抜け落ちてしまったではありませんか!
サンタクロースは驚いて声を出せずに口をぱくぱくさせました。
そこへ出来上がった料理を運んできたパイパイは、ひげのない顔のサンタクロースに驚き、ひっくり返りそうになってしまいました。
「わわわわわ! サンタさん、ど、どうしたんですか! ひ、ひげが無くなっています!」
パイパイは、まだ口をぱくぱくさせているサンタクロースに、急いで水の入ったコップを差し出しました。
それでやっと声が出るようになったサンタクロースは「これはいったいどういうことだ? あの赤い実は何だったのだ!」とパイパイに問いかけました。
「赤い実ですか?」パイパイは考えるしぐさをしました。
「ここにあった赤い実だよ。あれを食べたらこうなってしまったのだ」
「あっ、ああ、思い出しました! あの赤い実は私が森で拾って来たものです。でも、あれが何だったのかは私にもわかりません。まさかこんなことになるなんて・・・ごめんなさい!」パイパイはしょんぼりしてうな垂れました。
サンタクロースも抜け落ちてしまったひげを手に取り、深いため息をつきました。
するとそこへ北の魔女ベリーの孫娘であるライラがやって来ました。
「ねぇ、誰か、わたしの赤い実を知らない?」そう言いながら入って来たライラは、サンタクロースの顏を見て驚きました。
「わっ! サンタさん、そのお顔はどうしたの?」
びっくりして目をぱちくりしているライラにパイパイが事のいきさつを説明しました。するとライラはもじもじしながら言いました。
「その赤い実は私が森で無くしたものなの。まさかこんなことになるなんて・・・ああ、どうしましょう。私のせいだわ」
ライラは責任を感じて今にも泣きだしそうです。
「ライラは悪くないよ。考えなしに食べた私がいけないのだよ。だからそんなに責任を感じなくていい。しかしどうしたものか・・・クリスマスまであと二日しかないのに百人の子供たちのプレゼントがまだなのじゃ。ひげが無ければ作れない・・・・・・」
サンタクロースは困り果てて、先ほどの食欲も元気もありません。
どうしてサンタクロースのひげがなくなってしまったのか、ライラにもわかりませんでした。気の毒に思ったライラは、ひげが無くなったサンタクロースの顎を優しく撫でました。
サンタクロースのひげはもと通りになるのでしょうか・・・
いかがですか?
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もうサンタクロースを信じています。
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