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有料メルマガからの特別抜粋!M&A総研ホールディングス(9552)徹底解析
こんにちは、株好きFPのかたやま りえです。
この記事は、私の有料メールマガジンfoomiiの「株好きFPかたやま りえの株式投資&ときどきマネーの話」の記事を特別に抜粋しました。定性分析の手順と、実際に分析したM&A総研ホールディングス(9552)の紹介をしています。私の完全オリジナルの定性分析です。推奨銘柄ではなく、分析の手順の参考として活用していただけるととてもうれしいです。
定性分析とは?
定量分析が数字に基づく分析であるのに対し、定性分析は企業のビジネスモデルや経営陣の質、企業文化など、数値では測れない要素を評価するアプローチです。
まずは日常から
定性分析で最も簡単な手段は、日常生活からアンテナを張ることです。1番おススメの手段です。身近な人との話、新商品やサービスで気になるものがあれば購入してみる、街の行列など流行に敏感になることです。そこから企業名を調べてみましょう。
私のこれまでの経験では、日常生活で投資に結び付いた銘柄は、特にパフォーマンスがよかったです。FOOD&LIFE COMPANIES(3563)、寿スピリッツ(2222)、トランザクション(7818)などは、日常からヒントを得て投資がうまくいった例です。
定性分析のポイント
定性分析には以下のようなポイントを抑えて調べましょう。
①独自の強み
製品やサービスの質、参入障壁、マーケティング力などについてです。
②競争優位性
コストリーダーシップ、差別化、集中戦略などです。
③経営陣の質
謙虚な姿勢、責任感、成長戦略の一貫性などを見ます。
④企業文化
ビジネスモデルの強固さ、人材の育成、心理的安全性などが保たれているかです。
⑤外部環境
規制緩和、国策の支援、経済的・社会的トレンドなどに乗っているかを確認します。
このような銘柄だと株価が上昇しやすいです。ただ、業績が伴わずに上昇する銘柄もありますが、そのような銘柄は上昇が長続きしません。必ず業績がよい銘柄を選びましょう。
⑥成長持続性
社会的ニーズが高まっている事業か、技術革新、労働力不足への対応などを確認します。
定性分析の具体的な実践法
定性分析は、具体的には次のような方法で実践します。
①企業(ビジネスモデル)の研究
企業のウェブサイト、決算書などのIR情報、YouTube、ニュース記事、IRセミナーなどを利用してリサーチします。「企業名 IR」で検索するとIRのページにダイレクトに閲覧することができます。まれにですが、HPにしかない情報もありますので必ず目を通しましょう。
②市場の動向を観察
日常生活での観察、利用できる製品、サービスは利用します。ニュース、SNSなど、特にX(旧Twitter)は市場動向を確認するのに役立ちます。
③競合他社との比較
独自の強みや競争優位性を明確にするために確認します。「企業名 競合」と検索して出てくるケースや、後述する企業のIR動画などで、投資家からの質問で回答しているケースもあります。
④経営陣の評価
インタビュー記事や動画などから経営陣の人柄、価値観などを探ります。
「企業名+社長」などと検索すると、インタビュー記事が出てくることがあります。また、最近はIR関連のYouTubeも充実していますので、積極的に活用しましょう。私がよく利用しているのは「IRTV」、「ログミーFiance」、「SBI証券公式チャンネル」などです。
これらは、社長の人柄だけでなく、ビジネスモデルの理解にも役立ちます。
決算説明会を動画で配信する企業が増えています。また、オーナー社長であることも必須条件ではありませんが、重視します。オーナー社長は経営権だけでなく、株主総会における議決権も所有しているので、会社内で最も強い権限を持っていて、会社の所有権と経営権を同時に持っているため、経営判断が迅速にできるメリットがあります。
⑤企業文化の理解
従業員のレビューなどから企業文化を探ります。企業文化の理解に役立つのは、openworkでのレビューや、YouTubeで就活生向けの企業インタビュー動画です。
openwork HP
「ワンキャリア」の動画では、気になる企業があれば視聴しています。
⑤外部環境の分析
政治、経済、社会の動向から、今後も成長が継続できそうな企業であるか分析します。例えば、2023年であれば生成AIの推進などは注目されました。他にもリスキリング支援や、M&A支援などが挙げられます。
では、以下は実践編としてM&A総研ホールディングスの定性分析です。
M&A総研ホールディングス定性分析
どんな事業?
「DX・AIを駆使したテクノロジーによりM&A業界を変革する」ことをビジョンに掲げM&A仲介事業を展開しています。
ビジネスモデル
仲介手数料が収益源。譲受企業は、中間金と成功報酬、譲渡企業は成功報酬のみで、着手金などがないことが特徴です。成功報酬とは、成約したときに初めて料金を支払うシステムということです。上場企業で譲渡企業の着手金がないのは同社だけとなっています。(2023年現在)
アドバイザー数×1人あたり売上高
(案件数×成約率×成約単価)
で売上が発生しますので、成約期間を短縮し、1人当たりの回転数を上げることが重要になります。
独自の強み
同社の強みは以下の4点です。
①自社AIによるマッチングの高さ
②譲渡企業からの着手金や中間金がない完全成功報酬
③M&A成立までの期間が平均6.6ヶ月と短い(通常1年程度)
④データトリブンな経営
(データトリブン:売上データやマーケティングデータ、WEB解析データなど、データに基づいて判断・アクションすること)
これらはエンジニア出身の社長による自社開発したマッチングシステムを採用したことで実現できています。継続的な改修を続け競争優位性を築いています。
データトリブンな経営については、アドバイザーの⾏動やパフォーマンスをデータ管理し、数字をもとに経営、そのためのBIツールを⾃社開発しています。
以上がIR情報からの強みですが、
同社の売上高営業利益率は52.98%で、以下の競合他社より高い水準を維持していることも強みになっています。
日本M&Aセンター(2127)37.02%
ストライク(6196)37.62%
M&Aキャピタルパートナーズ(6080)35.72%
社長はどんな人?
佐上峻作氏。神戸大卒業後マイクロアド入社。広告システムのアルゴリズム開発等に従事、2016年に株式会社Alpacaを創業。約1年で株式会社ベクトルへ株式譲渡。売却時に感じた業界の問題点をテクノロジーで解決するために2018年にM&A総合研究所を創業、創業から3年9ヶ月で株式上場を果たしました。同社の株を72.4%保有する筆頭株主です。
今後の可能性は?
少子高齢化の加速により経営者の高齢化と後継者不在が深刻化している中で、M&Aの需要は高まっています。アドバイザー、単価、成約件数、成約期間に注目しますが、特にアドバイザーの順調な増加が収益につながりそうです。
・M&Aアドバイザー数
2022年74名
2023年181名
・単価
2022年0.74億円
2023年0.67億円
・成約件数
・M&A平均成約期間
2022年平均 6.2ヶ月
2023年平均 6.6ヶ月
その他
佐上氏の「数値化」へのこだわり、業務プロセスなど全て数値で管理し、組織全体に数値化の精神を浸透を目指してることは印象的です。売上が伸び悩んだ際には、その理由を分析し、数値で明確な目標を設定します。さらに、社員に対するリターンも透明性を持っており、会社の成長に合わせてストックオプションの価値を計算し、どれくらい成果を出せばどれくらいリターンが期待できるかということも説明しています。(202309決算資料他 より)
懸念点・リスク
参入障壁が低く競争は激化している業界です。資格など特別な要件が必要なく業界への参入が容易なため、競争は年々激しくなっています。アドバイザーの確保と維持は、持続可能な成長に必要です。また、大型案件の獲得が定期的にできるかどうかも、継続的な注目点です。また、市場の期待が高いため少しでも期待に外れるような決算が出ると株価の下落リスクは大きいです。(2023年12月29日現在PER55.72倍)
*参考資料
・社長インタビュー記事
・20220628事業計画及び成長可能性に関する事項
202309決算説明資料
ログミーFiance個人投資家向けIRセミナー
以上が定性分析になります。
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