「絶望の果てに」
私は、自我の、しくみを知った。
私は、人格の、しくみを知った
私は、内側の、しくみを知った。
それから、
私は、外側を見た。
人間社会の、しくみを知った。
そして、
絶望した。
絶望したのだ。
だから、
私は、今、『絶望の果て』
私は、『絶望の果て』に、いる。
けれど、
私は、自我の、しくみを知っている。
『絶望の果て』
それは、明らかに、
私の自我が、創造した、幻想である。
自我は、狡猾だ。
正当性のある、論理で、
私を、『絶望の果て』に、連れて行く。
そして、落とそうとする。
自分の部屋に、いるだけなのに、
私は、『絶望の果て』に、いるのだ。
だからこそ、
私は、私の自我に言う。
強く、優しく、言う。
「その程度の、論理で、
私を『絶望の果て』に、落とせないよ」
私は、部屋を見渡す。
自分の部屋に、戻ってくる。
そして、
机の上にある、
一杯の水を、飲むのだ。