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MISERY
骨髄バンク
1996年、大好きなhideさんが骨髄バンクのドナー登録をした。
当時高校2年生だった私はあまり身近な事として感じられてはいなかったが、人間の組織の一部がそういう仕組みのお陰で誰かの命を繋ぐことになり得るのだなと知れた。
成人したら登録しよう。
心のどこかで思っていた気がする。
記憶飛ばしのオカルッティと僅かな欠片
成人した私はのらりくらりと
毎晩のように飲酒して記憶を飛ばして
ハッピーなお友達ばかり増えていく
なんとも幸せに生かさせて頂いていた。
そんな中出会った友人の一人が
やはり、hideさんのドナー登録きっかけで
自身も登録した。というお話をしていた。
すごいなー。とどこか他人事ながら
私も時間できたら登録行こうかなと思い出したりしていた。
しかしここでも行動に移さない。
すぐ忘れてしまうのだ。
こうしている間にもドナーを待ちわびる患者さんが全国に沢山いたのかもしれないし、今も居るのだと思う。
現実を知る
数か月前。先の知人に適合したと連絡が入った。
大酒呑みの彼が、その手術に向けて120日間禁酒している様はSNSを通して知っていた。
元々の飲酒量も知っていた私からすると本当に強い気持ちがないと続かないことだな、すごいなと尊敬している。
この時初めて具体的に
「旭川だとどこで登録できるのかな」と調べた。
するとなんといつも仕事でお世話になっているイオン内の献血センターでできると出てきた。
こんな身近にあったとは!!!
とりあえずお話だけ聞きに行ってみようかなと4階の献血センターまで足を運んだ。
しかしこの時は勇気が出なくてその扉を開くことができなかった。
先ほど話した彼は手術に向けて様々な検査を受けたりコーディネーターさんとのやりとりを重ねていた。
そんな彼から私に久々に連絡が来たのは、hideさんがドナー登録するきっかけになったファンの少女に向けた曲についての感想だった。
あれは凄い愛の歌だよねなんてやりとりを交わしていた。
数年連絡無かったのに何故突然?と思ったが、残念ながら順番が回ってこなかったこと、それについて悔やんだ事、落ち込んだ事などを聞いた。
遠巻きからしか伺い知ることしかなかったこと、手術を受けるはずだった相手のことも勿論知らない。
だけど、なんだか何かをせずにはいられない気持ちになってしまった。
動いた
先日、献血センターへ向かう私の足取りは不思議と軽かった。
受付で「骨髄バンクへの登録をしたいのですが」と話すと
「ついでに献血もやっていっちゃいましょうか!!!!!」と元気な対応をされたので「そうですね!!!!!」とお返事した。
過去に献血をしたことはありますか?と聞かれたけれど
記憶はうっすらとしかない。
お調べいたしますねと言われ旧姓での名前と生年月日を伝えたら「以前は東京でなさってますね。2000年です、高円寺にお住まいだったんですね。専門学校で…」と忘れかけてた記憶の断片を伝えられた。
当時20歳になったばかりの私は、なにか人の役に立つことをしたい気持になっていたように思う。
専門学校の中で希望者が献血できる日があったような記憶がぼんやりと蘇ってきた。
「当時は200mlだったみたいですけど今日は400ml行っちゃいましょう!」と元気に伝えられ、若干びびりつつも「はい!」と答えてしまった。結果、貧血もなにもなかったのでヨシ。
驚いたのは以前の献血の年月日が
「2000年3月9日」だったこと。
4か月は献血できないとのことで
次回の予約可能日が
「6月9日」だったこと。
こんなところでも369の文字を目にすることになるとは、なんとも不思議な気持ち。
そして6月9日といえば、とてもお世話になっている Oさんが人生最後の献血に行った日でもある。
定期的に献血に行っていたOさんは69歳の6月9日まで献血に向かわれていた。
何故知っているかというとまさにその日369にご来店されたからだ。
なんとも不思議なご縁だ。
帰宅後私は迷わず次回の献血予約をした。
この肉体は借り物だ。
沢山お酒呑んでるのに
とても丈夫で健康状態を保っていてくれているし、昨日目にした自分の血液はとても濃かった。
細胞たちがとても頑張ってくれている。
この借り物の身体の一部が、どこかで辛い思いをしている誰かに届いて少しでも笑える日が長く続くお手伝いになるのならば、いくらでも差し出したい。
自分の健康が誰かの為になるかもしれないと思えるだけで、生きててよかったなと思えたりするから不思議。
骨髄バンクのドナーとして実際に適合したら、検査や入院、全身麻酔を使う手術など、それなりのリスクを伴うのでそんな簡単に人に勧められるものではないなとも思う。
ただ、「私は登録してみたよ」を残したくて書いてみました。
適合したとして、提供できるのは54歳までだそうです。
残り9年の間に誰かに命を繋ぐことはできるのかな。
なんだか不思議とその出番は割とすぐ訪れるような気もしています。
やれること、思いついた順にすぐやらなきゃ。と高校時代思っていた自分が蘇ってきました。
限りある人生、できること、やらせていただけること、やっていこうと思います。