第0032撃「メタ氏、超念力テープを聴く!!」の巻

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◝(⑅•ᴗ•⑅)◜
(人名や場所名が登場する際は仮名にする場合があります)

平成2年1990年、7月、中学2年夏休み。
夏休みが始まりました。
甲村(仮名)の家へ遊びに行くとき以外は、
愛犬の白いプードルのぺるを枕もとに無理やり引き寄せて、
寝ていることが多かったです。
小生が患っているトゥレット症候群が鎮まることはなく、
服用していた向精神薬の副作用で、
不定期に眼球が意思に反して上を向くことがよくあり、
実のところこれまで平日も学校は休みがちでした。

小生の音声チックをみかねた母が、
知人から紹介されて買ったのか貰ったのかは知りませんが、
これを聴きなさいと言って、
あるカセットテープと単行本を小生に差し出しました。
カセットテープには「超念力」と記されていました。
単行本に目を通したところ、
石山普夫(仮名)という教祖が大超能力者らしく、
その念力は凄まじいに尽きるそうで、
念力を発するときに生じる声を録音したテープを聞くことでも、
聞く者のあらゆる疾病が治癒し、現実が好転する、
という触れ込みでした。

早速、ラジカセで再生すると、
なるほど、壮年期の男性がひたすら、
「うぅぅぅむ、うぅぅぅぅうむぅ!」
声というよりも唸り声が、
60分ほど延々と吹き込んであるわけです。

小生は得体の知れないその唸り声を聴いていて警戒感を強めましたが、
しばらく聴いているとむしろなんだか気持ちよくなっていったのです。
カセットテープをオールリピートにして、
付録のピラミッドのマークの描かれた金色の丸いシールを眉間に貼り、
再生しながら入眠しました。
翌日に目を覚ますとカセットテープの唸り声が続いています。
そういうことが何日も続きました。
すると、小生の音声チックに変化が現れたのです。

小生の口からも、
「うぅぅぅむ、うぅぅぅぅうむぅ!」
という唸り声を発せずにはおれなくなりました。
「うぅぅぅ! うぅぅぅうむ!」
「うぅぅむぅむぅ、うぅぅぅぅうむぅうぅぅむ!」
窓ガラスを震わす小生の唸り声に、
ついに差出人の母のほうが耐えきれなくなり、
「もおいいかげんにしろ!その声をやめろぉ!
おまへのその声が聞こえると家がだんだん傾いてゆくわぁ!」
そう言って母はカセットテープと単行本をどこぞに隠してしまいました。

穏やかな日々に戻りました。
小生はまるで憑き物でも取れたかのように、
そしてチックの状態も「標準レベル」に戻ったのでした。

TUBE 「あー夏休み」(1990年)
Spotifyで聴く https://open.spotify.com/track/4ZzjI0LyQzGCjyKyc4aXZV?si=C5i7g9JvRnWvmqXn-grhtg

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CoCo「夏の友達」(1990年)
Spotifyで聴く https://open.spotify.com/track/4xrUvuPOLV9JWQnOTNp66o?si=Daid6KkAROKVdiCsmUdSSQ

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

懐かCMを観る1990年(14)7月

続く。果てしなく続く……。

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昭和50年代に大阪市に生まれた男が描く、 すぐに読めるライトエッセイ(軽い読み物)を お楽しみいただけると幸いです。 平成時代の穏やかな…

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