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23話 それでも……

 私はそれでもメールを出していた。
 返事は一切ない。
 やがて、メールも出さなくなった。

 最初から『言えない』関係だっただけ。

 会長様と私は鏡に映したようだった。
 鏡に映したように、『不安』が大きかった。
 だから、お互いがお互いの不安に苛まれたら、関係は終わる。
 大切だから、特別だから、思えば想うだけ、不安しかない。
 未来はない。
 安心もない。

 本当に大切ならば、『自分ではない誰かと一緒に居た方がいい』

 会長様は何度も私に、「私以外の良い人を見つけな」と言っていた。

 いろいろなものが合わない。
 なのに、合っていてはいけない不安が絶妙に合致してしまってる。
 不安をかき消す要素は一切ない。

 どう頑張っても、『この関係に未来はない』

 私に出来ることは限られている。
 願う事と祈る事。

 どうか、会長様が幸せであります様に。
 どうか、会長様が疲れていません様に。

 私に出来るのはそれだけ。










 ……。
 それでも少しだけ、『もしも』を考える。
 もしも、私が会長様の友達で『言葉に出来る関係』だったなら、何かが変わっただろうか。

 




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