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17話 友達

 会長様が半分一人暮らしを始めた。
 部屋を借りてサークル会員さんのまり場を作った。その部屋に帰る事にしたらしい。
 が、実際にはあまり帰る事が出来なかったのだとか。

 部屋を決めて、物を運び始めると言うので、私も見たいと言って行く事にした。
 会いに行くと、会長様は大家さんと話していた。
 大家さんが私を見て「妹さん?」と聞いてくる。
「いえ。……友達です」
 と、会長様が返す。
 ……。会長様に私は似ているのかなとちょっとだけうれしくなった。

 大家さんとの話が終わって、部屋へと移動する。
 建物は古い木造だった。防音は……全く期待できない。

「まだ、何もないんだけどね」
 会長様の言葉通り部屋には何もなかった。
 小さな押し入れと、コンロと水道。それだけ。
 部屋を少し見上げると、上の方に棚のようなものが付いていた。
 荷物は無い。

「さっき、妹だって……似ていたのかなぁ」
 会長様が、先ほどの会話の事を話しだす。
「……わかんない」

「友達……トモダチ……で、いいのかな」
 何とも言えない顔で考え込んでいる会長様がいる。
「んー?うーん……」
 私も何とも言えない顔になってしまう。

「説明できないし、友達でいいか……。でも、友達だったら、こんなのやだ……」
「こんなのって……私?」
「そうだよ。大体、友達だったら、おまえなんか、傍に居られないと思うよ」

 ……。うん。知っている。私が会長様の傍に居られるのは、ただのお情けだって。
 会長様が妥協して私を傍に置いているだけで、私は背伸びをして傍に居ようと必死になっている。
 私がただの会員だから、傍に居られるって事、知っている。

 それだけ、あなたの傍に居ることは難しいんだって知っている。

 




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