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☆番外☆ 同性愛

「私は、どっちでもいけるから」

 会長様はそう言っていた。
 つまり、同性も異性も愛する事が出来る。
 けれど、長く関わるとそれもまた違うと感じた。
 会長様は異性を愛する事が正しいと思っているようだった。

「同性愛者だって、本当に愛する異性に会っていないだけかもしれないでしょ」

 それを聞きながら、それを言うなら逆もまたしかりだなと思った。

「異性愛者だって、本当に愛する同性に会っていないだけかもしれない」

 会長様と私の間には、『正しくない関係』という答えが転がっている。
 秘密を抱えたまま、片手をつないで片手を隠している。

「いつか、いい人を見つけな」

 と彼女は言う。
 私は黙ったまま答えない。
 この関係が錯覚なのか、錯覚ならばいつ覚めるのか、分からなかったからだ。

 時々考える。
 私が男ならば、何か変わったのか。
 けど、私が男だったら会長様には近づけない。この関係は私が女だからこそ、どうにかなっている。

 考えれば考えるほど、この関係は正しくないと思ってしまう。
 正しさなんてどこにもないと思いながら、正しさを求めてしまう。

 彼女への愛が『本当の愛』かどうか、私は今も分からない。

 同性愛は愛した人の性別で決まるのか、性別が同性だから愛するのか。
 私はどちらだったのか、分からない。

 




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