木漏れ日の頃4
【 仕事 】
人を使う。
人に使われる。
別に私はどうでも良かった。
「これ、やっておいて」
ボーっとしていた私に、指導者さんはチラシを渡す。
私はそれを折る。
自分の仕事は一通り終わらせて暇だった。
それを見ていた先輩が同じ様にチラシを私に差し出す。
「これも、お願い」
そして、私の机にチラシを置いてパソコン入力に行ってしまった。
私は無言でそれを折った。
「カイヌシちゃんさ、ダメだよ。嫌なら嫌って言わなきゃ」
それを見ていた、所長さんが私に言う。
理解が出来なかった私は、顔をあげる。
「それは、指導者ちゃんと先輩ちゃんの仕事でしょ?
カイヌシちゃんはカイヌシちゃんの仕事をしなきゃ」
私は困った顔で考える。
別に嫌じゃないし、暇だったから仕事をしてって言われただけで……
そこへ、指導者さんが戻ってくる。
「指導者ちゃんさ。ダメだよ。カイヌシちゃんに自分の仕事させちゃ。
先輩ちゃんもそれを見て真似してるし、カイヌシちゃん困ってるじゃない」
所長さんが指導者さんに言う。
「そうなの?」
指導者さんはそう言って、自分の机についた。
所長さんは先輩にも同じ事を言う。
そして、所長さんは自分の仕事のパソコン入力を始めた。
戻ってきた先輩は耳元で私に囁く。
「もういいよ。今は所長が居るし、居ない時にしてね」
……見えない所でなら、いいのか?
別にチラシを折るのは嫌じゃなかったが、この考えは嫌だった。
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