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18話 誕生日

 ある日「チーズケーキが好きなの」と言う話から、誕生日を祝ってもらう事になった。
 場所はあの部屋。他の会員様も呼んで、4人ほどが集まった。

 会長様がケーキを買いに行ってくれる間、会員は思い思いに部屋で過ごす。
 ある人は、棚の上にあった本を取り出して読み始めた。
 ある人はお絵かきをし始めた。
 ある人は音楽を聞き始めた。

 誰かと一緒に何かをすることがないバラバラな状態。

 そこに会長様が戻ってきて、笑いだした。
「みんな、自由すぎ。いいね。こーいうの」

 皆が自分のやっていたことを片付けて、ケーキの置き場所を作る。
 美味しくケーキをいただいて、解散した。

 皆がそれぞれ楽しく過ごせた。

 けれど、解散後に会長様が気がついた。

「お金、徴収するの忘れてた」

「え?私、払うよ」
「ダメ。ノアちゃんのお誕生日なんだから、それだと、意味がない」
 会長様にそう言われてしまったので、出しかけた財布を仕舞った。

 その後もおしゃべりをしながら、駅への道を歩く。
 と、会長様がふとつぶく。

「私は、祝ってもらいたいとは思わないんだけどね。
 だって、知らない人に誕生日を知られるなんて嫌だし、相性占いとか診断とかを勝手にされるのも嫌」

 聞けない事が増えていく。
 知ってはいけない事が増えていく。

 どんなに親しくなったと思っても、勘違いしてはいけない。
 この距離は……この溝は埋まらない。

 




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