7話 親代わり
私が中学生になると、くーちゃんが小学生になった。
それまでは私と父、ほっちゃんと母、はーちゃんと祖母の組み合わせで学校の親子行事をしていた。
私が中学になって父は抜けた。
父は抜けたが頼める大人が増えたわけではない。
けれども、小学生の数は3人のままだった。
大人が足りないので、私が親役として小学校の行事に参加することになった。
小さなくーちゃんは母と、ほっちゃんが祖母、はーちゃんに私という事になった。
参観日当日。
はーちゃんも私も、違和感があった。周りも『あの子、まだ子供だよね』という話をひそひそとしていた。
ついこの間まで小学生だった私が、親の役として行事に参加している。
親子で何かをすると言っても、難しい事があったわけではない。
たぶん、工作のような事をしただけだと思う。
けれども、周囲の目と囁き声が痛かった。
この後も運動会で親子参加の競技に出た。
次の年には、ほっちゃんも中学生になったので、それはその年きりだった。
親の役をやってみて思った事は、『親ってめんどくさいんだな』という事だった。
だから、父は早々に不参加表明をしたのだなと思った。そして二度と親役はしたくないなと思った。
小学生の時、お味噌汁とご飯の炊き方や洗濯の仕方など、一通りの家事を私は教えられた。
妹たちは「結婚後に始めてやって、大変だった」と言っていた。
……家事を一通り教えてもらったのは私だけだったのだと、その時気がついた。
親は長子にだけ手をかけるものなのだろうか?と、少し疑問に思う。