BUMP OF CHICKENが教えてくれた「なくてはならないもの」の話
鉄は熱いうちに打て、と言うので、昨晩の話をしようと思う。
昨日は、ロッキンに参加した。知らない人のために説明すると、日本一アツい野外音楽フェス、ROCK IN JAPAN FESTIVALである。
これから書くのは、昨日、グラスステージというロッキン最大のステージで、トリを飾った、BUMP OF CHICKENの話である。
セットリストや素敵な演出の数々は、きっとほかの誰かがエモい感じで語ってくれるから、僕は書かない。
これから書くのは、すべての曲が終わり、花火が打ち上がるまでの5分間の話である。
アンコールが終わり、メンバーが舞台裏にはけたあと、ステージに1人残ったボーカルの藤原基央が言った。
「みんなで、ありがとうの拍手をしよう」
「まずは今日ステージに立ってくれたすべてのアーティストたちと、スタッフに。改めて感謝します。ありがとう」
「次に、ロッキンという20周年を迎えるこの場所に。このイベントがなかったら、世に知られなかったアーティスト、世に知られなかったミュージシャン、世に知られなかった音楽がたくさんあったかもしれない。ありがとう」
「そして、音楽を聴いてくれる人に。聴いてくれる君たちがいなかったら、アーティストに価値はないし、ロッキンだって20年続いてない。ステージの看板だってないわけだよね。スゲえよ君たち。ありがとう」
「最後にここにいる君たち自身に。君たちは、朝から来た人も、昼から来た人も、それぞれ色んな場所からここに来たと思う。楽しかった思い出もあるだろうし、もしかしたら嫌な思い出もあったかもしれない。そんな中最後まで頑張った君たち自身に拍手しよう。ありがとう」
夜7時半のグラスステージに、溢れんばかりの拍手が鳴り響いた。
「音楽なんてさ、衣食住のどれにも入ってないんだよ。なくても生きていける。でもないと生きていけないのが、僕たちや君たちなんだ。今日は、本当にありがとう」
彼は最後にそう言って、ステージを後にした。
誰だって、衣食住のほかに、なくてはならないものがある。
それはときに音楽であり、ときに恋人であり、ときに会話であり、きっと70億人70億通りあるんだと思う。
そんなことを考えながら、やっぱり「生きるのは最高だ」と痛感した。
彼がステージを去ってすぐ打ち上がった花火が、最高に綺麗だったことは、今さらとやかく言うまでもない。
昨日は、ロッキンがなくても、BUMP OF CHICKENがいなくても、一緒に行った人がいなくても、決して成り立たない素敵な1日だったと、翌日になった今思う。
あなたにも「なくてはならないもの」はありますか。
あなたにとっての「なくてはならないもの」はなんですか。