魔法の数字[1145141919]をIPの世界で探してみよう
はじめに
はじめましての方ははじめまして。
いつもの方はこんゆめ。Youtubeの端っこでVTuberしております、
ゆめみがちと申します。
今回のお題はタイトル通り、ネットの世界ではもはや共通認識となってしまった[1145141919]について。
ふとTwitterでIPについて話していたところ、フォロワーの一人が、
このようなリプライを送ってきました。汚いIPだなあ
その時ふと思ったのが、
「114から始まっているということはグローバルIPであるわけで。もしかするとこの世のどこかに、この汚いIPを割り振られている可哀想なユーザがいるのではないか?」
思い立ったが吉日、早速IPの確認を始めました。
本記事でわかること
IPv4の世界にある[1145141919]について
IPv6の世界にある[1145141919]について
IPv4の世界にある[1145141919]について
IPv4として表記できる形を考える
ご存じの方は申し訳ございませんが、IPv4は、xxxx.xxxx.xxxx.xxxxのような、4桁の数字x4セクションの形式となっています。
ただ、じゃあこの1145141919を単純に4区切りにすればいいのか!というわけではなく、IPv4は0.0.0.0~255.255.255.255という数字しか使えません。
(正確には使用できる範囲に制限があったり、プライベートIPの範囲があったりと違いますが、今回は無視します)
ルールから考えると、1145141919は全ての数字を使えず、途中で切り捨てなければいけないようです。悲しいなあ。
とはいえ、出来る限り使ってあげたいので、今回は11451419まで使います。
後、最初は114で固定というルールを設けます。これは個人的な考えですが、やはり114!が来ないとこの数字の意味がないと思うんです(頑な意思)
11451419を、IPv4で表せる区切りで表し、尚且つ最初の区切りが114が固定となると、やはり[114.51.41.9]しか選択肢が無いようです。
digコマンドで逆引き
GoogleDNSに確認したところ、なにやらbbtec.netというドメインが出てきました。
bbtec.netをwhoisで確認すると以下のような情報が出てきます。
はい、ソフトバンク株式会社様のドメインですね。しかもYahoo!BBのドメインである様子。2001年6月というのは、Yahoo!BBがサービスとして世に発表された時期ですから、間違いないようです。
IPv4[114.51.41.9]の利用歴史(調査中)
まず114.51.41.9を含むIPレンジは2008年4月22日にAPNICから分譲されたことがわかります。(現在広報しているのはAS17676のソフトバンク株式会社)
そして問題である114.51.41.9に関しては、2008年5月13日にBGPで広報されたようですが、この時のAS番号が37903となっています。
ルーティング履歴を見ると、AS37903がeMobileとなっており、最初は114.51.0.0/18で取得し、その後114.50.0.0/15で再度取得している様子。
その後、取得がAS17676のソフトバンク株式会社となっており、最後には現状のレンジ範囲である114.48.0.0/14になっているようです。
Yahoo BB CIDRと書いてあるので、現状のドメインに偽りなく、Yahoo!BBサービスで使用されているものでしょう。
以上の内容をまとめると、114.51.41.9はこのような歴史があるようです。
2008年4月22日、APNICから「どこ?」へ114.48.0.0/14で分譲される
2008年5月13日、「どこ?」からイー・モバイルへ114.51.0.0/18で分譲される
2008年10月6日時点で、114.51.32.0/19で内部で区切られている様子。ブログの内容からもイー・モバイル回線で使用されている模様
https://www.popnja.com/entry/2008/10/06/201345その後、モバイル回線のAP等で使用されていて、利用者の増加などから更に114.50.0.0/14で「どこ?」から再分譲される
2013年10月8日時点で、114.48.0.0/15でレンジが切られている
https://blog.0day.jp/2013/08/?m=02014年3月18日?時点で、114.51.0.0/18で区切られていた様子
http://195.184.96.55/routes201403182014年7月、ソフトバンクに吸収されY!mobileにブランド名変更。まだモバイル回線で使用されていた?
(不明)ソフトバンクにより114.48.0.0/14で全体を総括するように再分譲される
(現在)Yahoo!BBサービスの提供セグメントとして利用中
(現在も調査中の内容となります。)
まとめ
ここまでだらだら書いてきましたが、要は現在Yahoo!BBサービスのセグメントとして利用されているようです。
2014年にY!mobileからYahoo!BBセグメントに移される前までは、携帯の回線IPとして、114.51.41.9を使っていたユーザーがいたと思われます。
新規受付は終了していますが、まだ提供中のサービスであるため、YahooBB!のサービスを利用されている方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。(ぜひ引当てた際はご連絡いただけると嬉しいです!)
IPv6の世界にある[1145141919]について
IPv6として表記できる形を考える
IPv6は、xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxxのような、4桁の16進数文字x8セクションの形式となっています。10進数の数字しか使えず、4セクションしか使えなかったIPv4と比べると2の96乗倍も差が…(ポカーン)
これなら最初から114で始められるじゃん!…ということはなく、2000::/3から始めようね、という決まりがあります。つまりどんなに頑張っても、最初の第1セクションに114は使えません。2114なら可能性あるけど、それはなんか違うような…違わない?
そのため、今回は第1セクションは無視して、第2セクションから1145141919を出現させていきたいと思います。
…と簡単に言いましたが、実はIANAから国別にIPv6を払い出す時、/32以上で払い出すのがデフォです。つまり、国単位で払い出された瞬間、第2セクションまで決まってしまうことになります。
そのため、xxxx:114::/32以上でIANAから払い出されている国を探すことから始まります。
Powerd by foxmaster.jp / Contact is @foxmaster
もちろんそんなリストを公式は出していないので、こちらのリストをお借りすることにしました。本当にありがとうございます!
リストを検索した結果、2件ヒットしました!
…68904件中、2件しかない。もうこの時点でこの数字の魔力を感じます。
アメリカ : 2620:114::/44
コロンビア: 2801:114::/44
ひとまず確認していきましょう。
IPv6はその性質上、514などといった三桁の数字も使用可能です。
そのため、以下のようなIPv6が考えられます。
[国別]:114:514:19:19:810:364:364
[国別]:114:514:1919:810:364:364:893
…
流石に8セクションともなると、文字当てをするのも大変になってきました。16進数文字、4桁であればなんでもいけるのがIPv6の強みです。
ですが、今回の検証ではそれでは網羅することが難しくなりますので、今回は原点に立ち返り、114:514:19:19をIPに出すことを考えていき、それ以降のセクションは::、つまり省略していきます。(好きな数字を入れて遊べるね!)
上記の内容を踏まえ、尚且つIPv4の欄で前述した通り、114は必ず固定で出現させるというルールの元、表現されるIPは以下の通り。
[国別]:114:514:19:19::/80
本来であればこれが出てくれば完璧…なのですが、残念ながらIPv6はその使用歴の短さと範囲の広さも相まって、第3セクションが514まで利用されていることはありません。/44なので、第3セクションは1桁で固定されてしまいます。おのれゆるさんぞIANA
そのため、最終的に存在するIPとしては、
[国別]:114:5:14:19:19::/96
となります。まあ妥協点かな…。
このIPで順番に確認していきましょう。
アメリカの2620をwhoisで確認
https://whois.arin.net/rest/net/NET6-2620-114-1
Shutterflyというオンライン写真のプリント会社に直接割り振られています。
それ以降はどのようなセグメントに分割されているか確認できないのですが、少なくともShutterflyの関係者であれば、2620:114:5:14:19:19::/96を使用している可能性があります。
コロンビアの2801をwhoisで確認
https://query.milacnic.lacnic.net/search?id=2801:114:5:14:19:19::
こちらはLimelight Networksという会社が所有しているようです。
業務内容を見るに、CDNを提供している会社なのかな?
Geofeedを公開しているので、確認してみます。
2801:114:5::/48はリオデジャネイロへ提供されているIPレンジのようです。
CDNで利用しているということは、コンテンツ配信のエンドポイントとして利用されているものだと推測できます。ユーザーが使っているIPレンジではないように思えます。
まとめ
アメリカに分譲されている[2620:114:5:14:19:19::/96]は、Shutterflyという会社が所有している。もしかすると利用している社内ユーザーがいる、かも。
逆にコロンビアに分譲されている[2801:114:5:14:19:19/96]はCDNのエンドポイントとして利用されている可能性が高く、あっても割り振られた機器だけだろうと思われます。
記事まとめ
ふとした疑問から色々調べてみましたが、本当に疲れました…。
特にIPv4の部分については、JPNICが情報を出してくれないせいで、インターネットに転がっている情報を繫ぎ合わせることでしか調査できなかったのがくやしいです。せめてAS番号の過去ログくらいは配って欲しいものです。
案外IPv6はまだまだ空きがあるんだな、というのは素直に驚きでした。
JPでもまだまだ[国別]:114::/32とか空いてるように見えるので、やる気のある方いらっしゃったら取得するのも良いかもしれません。
まだまだ情報の精査が足りないので、よければコメントやX(Twitter)で感想・御指摘頂けると嬉しいです。ここまでありがとうございました。
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