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定年退職したら性分まで変えてもいい?

三つ子の魂百までという、幼いころの性分が一生続くというこの戒めは誰もが自覚しているのだろうか。
自覚しているとしたらどう付き合っているのだろうと、如何にも定年退職者が考えるようなことを思う今日この頃だ。


生まれ持った性分のままでいられる定年退職

私は60代の定年退職者だ。
三日坊主、八方美人、優柔不断、お人よしなど、どの言葉もあまりいい響きではないがそれらはすべて私の性分だ。
いや定年退職するまではそう思っていた。
しかしそれは自分がそう思っていただけだったのかもしれない。

どう捉えるかによって変わる性分

20年ほど前のことだ。
会社関係の旅行で韓国に行ったことがある。
その時も韓国には何度も行ったことがあるという理由で私が幹事を仰せつかった。

八方美人でお人よしの私は喜んでその役を引き受けた。

参加者の皆さんに楽しんで頂けるようテンションを上げてその旅行に臨んだ。
ツアーだったので、金浦空港から途中昼食を食べてホテルまで現地ガイドと共にマイクロバスに乗った。

普段どちらかというと控えめな私は、テンションを上げるためにマイクロバスの中で皆に敢えてビールを配り私も飲んだ。
酒の力を借りてテンションを上げたのだ。

参加者の一人ひとりに韓国の面白い話をするなど頑張った。

その時、現地のガイドさんが日本語で私に言った。
「あなたは八方美人ですね」

いくらお人よしだとはいえ他人からそんな言葉を聞くとは思いもしなかった。

耳を疑ったので「えっ」っていうと、ガイドさんは「本当に優しい人ですね」と言い直した。
最初からそう言ってくれよと思った。

後で知ったことだが韓国にも「八方美人」という言葉があった。
韓国ではパルバンミイン(팔방미인)というその言葉は、その漢字の意味通りだった。

どこから見ても美しく、誰にも優しくできる人、何事にも優れている人という意味だ。

最高の褒め言葉だ。

日本語の八方美人がけなし言葉だということを知らなかっただけのようだ。

そうと分かればどんどん八方美人と言ってほしいと思うほど、その言葉を言ってもらうと気持ちがいい。

それからは誰に八方美人と思われようが気にするほどのことではないと思うようになった。
よく考えてみると誰にでもいい顔をしようと思って、いつもコミュニケーションを取っている訳でもない。

営業職で生きる術だ。

相手の話を否定して「いやいやそれは違いますよ」と自分の考えをはっきり言えるのは、よほど親しい友人か家族くらいだ。
多くの人を潜在顧客だと思っているとしたら、話を合わせるのは気に入られる術だということだ。

定年退職後に見える性分

八方美人だけではない。
優柔不断も同じようなことが言える。

決断力に欠けるとかはっきりしないという意味だが、営業をしていたら柔軟な対応を迫られたり遠慮がちにならざるを得ないこともよくあることだ。

長年営業職で生きてきたからこれらを自分の性分だと思っていたが、定年退職して潜在顧客と言える人もいなくなれば誰にもそんなに気を使うこともなくなった。

自分が思うように言いたいことを言って生きることができる人生になったということだ。
これからが自分の本性を出せる時だ。

そう思いながら定年退職後の人生を振り返ってみると、どうも生まれ持った性分だと自覚していたことが少し違っていることに気が付いた。

人に八方美人や優柔不断と思われるほど柔軟ないい人ではないということだ。
韓国のガイドさんに八方美人と言われた頃が懐かしいと感じるほどだ。

基本的な性分はそのままでもいい

そうは言っても生まれ持った性分というのもあるはずだ。
私の場合は人見知りがその代表だ。

幼かったころ、知らない人が来ると祖母の後ろに隠れて遣り過ごしていたようだ。

つまり人前に出ると積極的に会話をすることが出来ず躊躇してしまうという性分だ。
この性分は旅に出ると自覚することができた。

道を聞こうとしても誰にも話しかけられなかったり、見ず知らずの人に話しかけることを遠慮することが多かった。
この性分は自覚さえできれば意識することで治すこともできそうだ。

旅の恥はかき捨てのように積極的になるよう意識した。
そうしたほうが旅が楽しくなるからだ。

しかし普段の生活では人見知りのままでいいかと思うことの方が多い。
特に定年退職後は積極的になっていいことはさほどない。

定年退職後には承認欲求や自己顕示欲といった感情もあまり意味を成さないからだ。

今日も雨の降る外を眺めながら戒めNoteを書いているのだから、どんな性分であろうが何かに影響があるはずもない。

#性格 #定年退職 #性分 #生き方 #人生 #人生観


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