定年退職後にドラムでセッションデビュー!
私は子どもの頃から楽器が大好きだった。
前にも書いたが大人になってからキャバレーでトランペットを吹いていたこともある。
アマチュアバンドでドラムを楽しんだのはその後だった。
セッションで楽しめるようになるまで!
今は60代からでも楽器の演奏スキルを上げることができると実感している。
定年退職後に再開したドラムも、最初は自分でも嫌になるほど下手くそだった。
それでも毎日継続するという力は大きかった。
定年退職後に楽器の練習を再開
定年退職後に有り余る時間を使ってやりたかったことのひとつが楽器の練習だった。
楽器を演奏する楽しさは忘れてはいないが、現役中はなぜか練習のための時間を作ることができなかった。
定年退職してある程度落ち着いたころから楽器の練習を再開した。
軽くて安価なスティックを半ダース購入して基礎練習から始めたのだ。
倉庫の奥に仕舞っていた練習用のパッドを引っ張り出し、早朝洗面を済ますと同時にパッドに向かってスティックを振り下ろすことを日課にした。
ダウンストローク、アップストローク、フルストローク、タップと初歩の練習から始めた。その後メトロノームに合わせダブルストロークやパラディドルといったドラムの基礎を反復練習するようになったが、これが結構定年退職後の情緒を安定させてくれる材料になったようにも思える。
楽器の反復練習が情緒に与える効果
最初はスマホのメトロノームアプリを利用して練習していたが、長時間練習すると電池の消費量が気になったので新たにメトロノームを購入した。
KORGの数千円のメトロノームだがクリック音も変えることができ「ワン、ツー、スリー、フォー」のような音声クリックを使っている。
その音声クリックのお陰で誰かと一緒に練習しているような気持ちになれる。
その音声に合わせて「タラタタラタララタラタタラタララ」と反復練習をした。
定年退職してから半年を過ぎると社会から見放されたような疎外感に苛まれ、輪郭のぼやけた理由のない不安に襲われることがある。
反復練習にはそんな情緒を安定に導いてくれる効果があるようだ。
反復練習をやっている時は集中しているので他のことは考えないからなのかも知れない。
時間が過ぎる感覚も何もやっていない時とは違い充実感がある。
定年退職してからセッションデビュー
私がやっている楽器がドラムということもあり、昔の感覚を取り戻すにつれ誰かとまた一緒に演奏してみたいという欲求が生まれてきた。
これがひとりで演奏しても曲として成り立つギターやピアノならそうは思わなかったかも知れない。
途中からYouTubeなどの音源に合わせて演奏してみることも試みたが、これが結構楽しめた。
前にも書いた家セッションだ。
しかしやはり生のアンサンブルをやってみたい欲求は高まっていった。
ある日ひょんなことから車で10分程度のところでセッションをやっていると知って興味が湧いた。
人口3万人程度の田舎町でまさかセッションを開催しているようなところがあるとは思ってもみなかった。
その会場に行って話を聞いてみると「月に一回程度セッションを開催しているので来て下さい」とお誘いを受けたのだ。
近年このようなセッション会場が全国にあるとは聞いたことがあるが、まさかこんな田舎にもあるとは思いもしなかった。
田舎だからといって油断していた訳ではないが、そのセッション会場に来る人たちのレベルは非常に高かった。
若い頃のドラムスキルは少し取り戻したとはいえ、セッションデビューの日は緊張した。
その会場に入る敷居も高く感じた。
このような緊張感も久しぶりだった。
その緊張がドラムの実力の半分を削ぎ落し散々なセッションデビューとなってしまったが、逆に練習のモチベーションを上げる刺激にもなった。
セッションで出来なかったことを課題にして練習に取り組んだのだ。
意識したのは開き直りと楽しむこと
若い頃多くの人の前でドラムを演奏する機会は少なからずあったが、これほど緊張したことは記憶にない。
緊張すると家で出来ていることも出来なくなるので演奏を楽しむどころではない。
失敗して恥をかくとか60代だというくそでもないプライドが邪魔をするので、そこでとった作戦が開き直りだ。
次回も恥をかくつもりで参加しようと意識した。
開き直り作戦が功を奏して今では大分セッションを楽しめるようになってきた。
最初に緊張した理由のひとつは音楽ジャンルにもあった。
私が参加したセッション会場は概ねジャズが演奏されていたからだ。
他のセッション会場もジャズをやっている人の参加がほとんどのようだが、私が定年退職後に練習していたのはポップス系だったのだ。
セッション参加後はジャズを意識した練習に切り替えた。
最初はセッションに参加しても楽しむどころではなかった。
一定のテンポでリズムを刻むのが精一杯だった。
それから約半年が経ったころようやく楽しめるようになってきた。
最初の頃は自分が楽しいと思えないのに、一緒に演奏して頂く方々が楽しいはずがないと思った。
いつも迷惑をかけているんだろうなと申し訳なくも感じた。
しかしいつもセッションでお出会いする、ドラムが私の数十倍は上手いだろうと思える70代の方が、「とにかくセッションに参加することが上達の秘訣だから来て下さい」と励まして下さった。
この方と出会ったから続いていると言ってもいいくらいだ。
定年退職で失くしたものを取り戻す
セッションに行けば毎回といっていいほど初対面の人と遭遇する。
定年退職で多くの人脈をリセットしたので、この初対面が定年退職後の新しい人脈となっている。
しかもこの人脈には営利的思考が絡むことがない。
それどころか音楽という同じ価値観を持った方々なので、相手の話題に気を遣う心配もいらない。
セッションに参加してまだ日は浅いが、同年代の共通の趣味を持った多くの方々と知り合うことができたことは第二の人生にとって価値の高い出来事になった。
最近も私と同じように定年退職後に楽器演奏を再開したという方にお会いした。
定年退職後にやることもなく日々を過ごしていた時、奥様から「若い頃やってたベースをもう一度やってみたら」と言われて再開したそうだ。
誰でも音楽を聞いて癒されたり勇気付けられた経験があるものだ。
その音楽を演奏するということは音というエネルギーを出し合って共鳴させ、ウキウキするような幸せ感を作り出すことでもある。
セッションで奏でられる一音一音には魂が込められ、それらの音が集まって音楽が作られていく。
私はその一音一音に自由に魂を込められるように練習しているが、
自由に楽器を演奏できる喜びは第二の人生の生き甲斐にも繋がるものだ。
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