絶景を追う車中泊旅
絶景写真ならスマホで簡単に見ることができる。
しかしその写真が撮られたところへ出向いたからといって、その写真と同じ絶景が見られるとは限らない。
いや、見れたとしたら偶然だ。
絶景は偶然の産物だ!
一時期私は絶景を見る目的で車中泊旅をしていた。
いや、絶景動画を撮る目的と言った方が的を得ている。
YouTubeに投稿するための絶景動画だ。
ひとり車中泊旅も、このような目的を持つ方が断然やる気も高まるというものだ。
しかしそんな動画を撮影するのは簡単ではなかった。
夕日と日の出の絶景
夕日と日の出は明らかに絶景撮影候補だ。
ネットでよく見る絶景写真の被写体も夕日や日の出は少なくない。
しかしこれらの太陽の絶景を捉えた写真が、ある程度の倍率で撮影されたものだと知ったのはすぐではなかった。
カメラの性能は様々だ。
私が持っているカメラのズームレンズでは明らかに倍率不足だった。
スマホアプリのカメラの方が、それ以上に倍率を上げることができた。
それだけではない。
レンズのF値やISO感度などだ。
カメラの機能に疎かった私がこの露出、シャッタースピード、ISO感度などの関係を知ったのは絶景のお蔭だ。
もちろん私だけではないだろうが、現実に見えている景色よりも更に絶景感を強調した撮影を意識した。
最初のうちは夕日や日の出も三脚を使わずに撮影することが多かった。
太陽のように目に見えて動かない被写体は、多少手振れ感がある方が動画らしいという先入観があったからだ。
三脚を使ったのはタイムラプスを撮る時だけだった。
車中泊旅では絶景写真を撮影している人とよく出会った。
そのような方から教えて頂いたことも少なくない。
絶景写真を撮りに来ている人のカメラは、私とは比較にならないほど高価そうで大きかった。
その人たちの撮った写真を見せて頂いても、明らかに現実よりも絶景感は強いものだ。
夕日と日の出は季節で変わる
私は兵庫県に住んでいるので日本海と瀬戸内海はほぼ北と南にある。
そのため、夕日や日の出を撮影するには季節によって行き先を変える必要があった。
日本海で夕日や日の出の絶景を撮影するには4月から8月までで、逆に9月から3月頃までなら瀬戸内海だ。
車中泊旅に出る前はいつも日の出・日の入りマップで日の出日没の時間や方角を確認していた。
絶景写真が夕日や日の出だけとは限らないが太陽の光が関係していることには違いない。
父母ヶ浜(香川県)の潮だまり絶景
まるでウユニ塩湖のような絶景写真が撮れると有名になった海岸が父母ヶ浜だ。
ここには3度行った。
もちろん潮の満ち引きやその日の風速も調べた。
父母ヶ浜では3度行って、まあまあの撮影が出来たのは1度だけだ。
父母ヶ浜のサイトで調べると撮影の仕方も丁寧に書いてあるが、無風の日に行くのは至難だ。
風が弱まるのを待って撮影するのがコツなのだろう。
潮だまりの手前にカメラを設置するが、風の吹く上側に置くのがよさそうだ。
潮だまりの波紋は風が吹く下手の方が大きくなるからだ。
鳥取砂丘の夕日
これから夏になると鳥取砂丘でも日本海に夕日が沈むようになる。
鳥取砂丘の夕日絶景が他の日本海海岸と違う理由は、夕日と人のシルエットの共演だ。
沈みゆく夕日の中に人が歩いて入っていくといった写真や動画を撮影することができる。
鳥取砂丘には馬の背と言われる小高い砂の丘がある。
駐車場から歩いて鳥取砂丘に入るとその馬の背が真っ先に目に入るはずだ。
その馬の背の方に砂の上を歩いて行くと、馬の背の頂上と日本海の水平線がちょうど重なる地点がある。
後はそのあたりに三脚をセットして水平線に沈む夕日を待つだけだ。
馬の背に程よい人数の観光客がいれば最高のシャッターチャンスだ。
もちろん水平線辺りに雲がないことも条件だ。
私は動画を撮りに行ったが、カメラや気象条件をクリアすれば写真も最高だ。
鳥取砂丘と言えば写真家の植田正治が有名だが、夕日と人のシルエットはさながら植田正治の写真と言ったところだ。
宍道湖(しんじこ)(島根県)の日の出
宍道湖はいつ行っても美しかった。
車中泊旅で山口県から島根県に入って道の駅で車中泊をしたが、早朝暗いうちに目が覚めたので宍道湖の日の出を撮影しようと思った。
コンビニで買ったコーヒーとパンでブレックファーストを取りながら、宍道湖の日の出が撮影できる場所を検索した。
日の出の方角を確認したうえで選んだのが、出雲縁結び空港の少し北にある宍道湖西岸なぎさ公園だ。
ここでも偶然の条件が重なることを祈った。
それが宍道湖のシジミ漁だ。
シジミ漁は午前中の早い時間帯に行われるが、その船と日の出を撮れれば言うことはない。
しかしそのタイミングは一年でもそう多くはない。
時期は4月か9月だ。
この時期の漁は早朝6時からだが日の出は6時までだ。
私は4月に行ったがその偶然に出合うことができた。
竹田城跡(兵庫県)の雲海と日の出
私の家からは遠くない竹田城跡の絶景と言えば雲海だ。
毎年秋になれば多くの観光客がこの絶景を見るためにやってくる。
この絶景の偶然は気象条件だ。
晴天になる日の朝が冷え込んで風がないこと。
日中に向けての寒暖差が10度以上の日だ。
前日は湿度が高く暖かい日であることなどだ。
雲海の上に顔を出した竹田城跡を撮影するには竹田城跡ではなく、向いの朝来山麓にある立雲峡に行く必要がある。
竹田城跡と同じ標高にある展望台まで早朝の暗いうちに登らなければならない。
立雲峡の駐車場から第一展望台までは40分の登山だ。
立雲峡は竹田城跡の東に位置しているので逆光になる心配はない。
しかし敢えて雲海に浮かぶ竹田城跡と朝来山から登る日の出という奇跡の撮影に挑むなら、立雲峡とは逆の位置(竹田城跡より西)にある藤和峠から狙うべきだ。
藤和峠までは車で行くことができるが駐車場があまりない。
立雲峡よりも距離が遠いため倍率も高めのレンズが必要だ。
竹田城跡の超レアな奇跡の絶景は桜と雲海、そして竹田城跡と日の出が重なった撮影だ。
もちろん竹田城跡に近いところに住んでいる私でさえまだ見たことはない。
渡月橋(京都嵐山)の日の出
5月7日前後か8月初めごろだろうか。
日の出時刻は5時過ぎだが、比叡山の頂上付近から日が登るので5時半頃になりそうだ。
京都嵐山の渡月橋の南の中州の一番西辺りから動画を撮ろうとしたことがある。
このポイントから渡月橋を見るとその奥に比叡山を見ることができる。
比叡山頂上が少し尖がって見えるので、ダイヤモンド富士ならぬ渡月橋ダイヤモンド比叡というとてもありがたい絶景が期待できる。
8月ならその後、世界遺産天龍寺の放生池の蓮の花を見ることができるだろうから更に縁起がいい。
蓮の花も早朝7時から9時頃が見ごろだ。
午後はしぼむのでその美しさを楽しむことはできない。
早朝の嵐山は観光客も少なく、ゆっくりするには持って来いだ。
天龍寺が見学できる8時半を過ぎる頃になると、段々と人も増えてくる。
天龍寺西側の竹林の小径も緑が際立つ絶景と言えるだろう。
朝日の当たり加減によってはその表情も変わるのでいい写真が撮れそうだ。
偶然の絶景
車中泊旅をしていると偶然の絶景に出合うこともある。
早朝参拝をしようと朝早くに出雲大社に出向いた時は期待していなかった日の出に出合ったことがある。
観光地でも絶景ポイントでもないところで絶景に出合ったこともある。
例えばこの記事のヘッダー写真がそれだ。
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