早朝登山【車中泊】
2年前の春に早朝登山をしようと思いついた。
車中泊旅を始めた次の年だ。
ひとり車中泊をしていて、一日の内で最もポジティブな時間が早朝だと知った。
その時間を有効に使いたいと思ったからだ。
低山アルプス登山
日本にはアルプスと名がつく低山の登山場所がたくさんある。
私が住む兵庫県にも日本一標高が低い小野アルプスや高砂アルプスなどがある。
この日はそんな中から加西アルプスを選んだ。
登山前のリサーチ
私は登山という登山をしたことがなかった。
人生のほとんどを営業職で生きてきた。
それも田舎だったのでほとんどが車移動だった。
定年退職をして初めて長距離を歩くようになったと言ってもいいくらいだ。
このころウォーキングもしていたので少しは歩くようになっていたが、山歩きは自信がなかった。
しかし加西アルプスをNETで調べてみると総距離は6Kmで所要時間は2時間40分となっていた。
このくらいなら何とか歩けるだろうと思った。
早朝登山なので山の上から日の出を見るのも目的に加えた。
ルートを調べ、登山開始から早めに日の出ポイントへ到着できることが条件だ。
夜が明けて空が白け始めた時間に登山を開始して、日の出までに行くことができるポイントだ。
前に「絶景を追う車中泊旅」でも書いたと思うが、絶景を見るにはそれなりのリサーチと努力が必要だ。
日の出ポイントを定めたら、ポイントからの太陽の向きも入念にチェックして天気のいい朝を選んだ。
低山登山の利点
加西アルプスとは姫路の北東にある播州平野に点在する山々だ。
標高は一番高い山でも200m少しだ。
通常は高い山の登山と言えば、登山口まででも時間がかかる。
しかしこのような低山は山に入っていく時間はさほど掛からない。
私は夜暗くなってから家を出てこの登山口の近くで車中泊をしたが、普通の車中泊と何ら変わらないのが低山のいいところだ。
一度神戸の夜景を見ようとして夜になってから六甲に行ったことがあるが、六甲山に入ってから急にガスが出始め5m前が見えないことがあった。
後ろから走り屋さんの車に煽られ途中で止まって前を譲ったが、追い越していった車はその先で事故を起こしていた。
少し高い山はすぐにガスが出たりするので、暗くなってから行くのはリスクがあるということだ。
その点低山は、どこかの道の駅で車中泊をしてから向かっても日の出に間に合うだろう。
この行きやすさこそが低山の一番の魅力だ。
低山と言っても吊り橋や鎖場、馬の背もある本格登山さながらのルートが用意されている。
私のような初心者にとっては充分満足できる登山になるだろうと思えた。
そして私はハイキング程度という記事を見たので軽装で行くことにした。
登山靴は持っていないので普通の運動靴に軽いリュックだ。
春の低山はミツバツツジなどが咲いていて心も癒される。
そんな軽い気持ちでの山歩きは気持ちいい。
低山登山のリスク
しかし結果から言うと低山登山ということでなめていた。
年齢的にも経験的にも、初めての加西アルプスをひとり登山をするにはリスクも感じた。
私の動画でも登山上級者であろう方から、「低山であっても一人登山は危険ですよ」とコメント頂いた。
まさしくそうだと感じたのは、下山中に滑落しそうな滑りやすい山肌に迷い込んだ時だ。
すぐに引き返したので事なきを得たが、もしもケガをしても一人ではどうすることもできなかっただろう。
一人ということで言えばどうしてもペースが早くなりがちだ。
二人以上ならお互いに気遣いをしてペースも遅めに調整するだろうが、意識していたにもかかわらずペースを早めてしまっていた。
そのせいで疲労感も増したが、特に心臓が弱い人は要注意だろう。
疲労感が限界近くなれば事故のリスクも高くなる。
私も加西アルプス最後の馬の背で危険を感じたほどだ。
足腰が疲労で弱っていたので少しよろつけば滑落の危険性が高まっていた。
アルプスと名の付く低山登山はこの時が最初で、それ以降は最短で頂上を目指せる早朝登山に切り替えた。
しかしこの加西アルプスの経験が、その後の早朝登山にも役に立った。
できればこの春は、夫婦で加西アルプスにハイキングに行きたいと思っている。