令和のシンデレラは、ガラスの靴じゃ走れない
東京でオンナひとり、一生ひとりで生きる覚悟はできていた。
家族、結婚、煩わしい恋愛、もうコリゴリだった。
しあわせを誰にも邪魔されたくない。
しあわせは、人から奪われるものだから、それを必死に守るものだと思っていた。
だけど、ダントツに好き、新居。
しあわせになることを許可され与えられた居場所。(お城って呼んでる)
同棲一週間目。
あたしい生活が、同棲が、はじまるとともに秋の風が吹いた。
愛を知らないわたしと、愛し愛されて生きた彼。
“愛を知ること”
それが同棲のテーマだと、彼が言う。
出逢ってから今日まで、猛スピードで物語が進んだ。
人生に絶望しているわたしを、彼は、希望のにおいがする方向へ手をひいてくれる。いつだって。
本当のところ、彼がわたしを選んだ意味はわからない。
うつくしく可憐で健康的な、わたしみたいに毒親育ちでも、アトピーでも、人間不適合でもない女性はいくらでもいるのに。きっとモノ好きな人なのだ。
そのモノ好きに、いまは甘えてしまおう。
数年前、東京に来た理由―
毒親の奴隷としての生活にグッバイして、人権と、しあわせを手に入れるため。
令和のシンデレラは泥臭く生きるよ。
希望と居場所をくれて、さらには贅沢までプレゼントしてくれる。
しあわせが過ぎる。罰が当たりそうだ。
罰が当たる前に
はやく、はやく、しあわせを倍返しできる世界線にワープをしたい。