クライミングスクールについて思うこと
最近では、五輪でクライミングが種目として追加された事によって子供の習い事としてクライミングを選ぶ親御さんや子供にクライミングを体験させる方も多くなっている。
個人的には、クライミング業界がこれで盛り上がることや国内のクライミングレベルが底上げされることは大変に嬉しいとこである。日本人クライマー計画も夢ではない。
その一方で、昨今の子供へのクライミング事情で個人的に見過ごせない、いやむしろ怒りに近い感情を覚えることがある。それは、子供にクライミングを『やらせる』親の存在である。特に、クライミングをしていない親が習い事感覚で子供にやらせるというのは怒りを通り越して子供に対して悲しみすら覚える。世渡り上手な人は、「他人の事なのだからほっとけよ」というのがごもっともの意見なのであろうが、クライミングというものを一枚通してしまうとそうはいかない。
その理由は以下の通りである。
•痛さが半端ない
•クライミングを長期間するということは、一生治らない傷を負うということ
•私自身が、『楽しいから』登っているから
順を追って述べていこうと思う。
1.痛さが半端ではない
クライミングは素手と足で登るのが基本である。その為、特に初心者のうちは使うホールドのせいもあってとても痛々しい手になる。私自身、始めてしばらくの間は手のひらが真っ赤になったり、よく手の皮がベロっと剥がれて血や体液が何日間か垂れ流しになったこともある。もちろん、厚く皮が剥けてしまうので1週間ぐらいは治らないことはザラであった。また、シューズが日常で履く靴よりもキツいためにかなり変形する。登山靴を買った際に、お店の方に「なぜこんなに外反母趾になっているんですか?早く矯正した方がいいですよ!」と言われたこともある。何が言いたいかというと、親からの言いつけで無理やりやらされている習い事でここまでの責め苦を受けさせられている。さらにたちが悪いと、親はただ見ているだけでそれを子供は共感することも許されない。挙句、クライミング 事情を知らない親が知ったような口を叩いたり他の子と比べる。こんな、地獄のようなことはないだろう。クライミングでの苦痛は私の記事で、紹介することが多々あるのでで詳しくはそこを参照してもらいたい。
2.クライミングをするということは、一生治らない傷を負うこと。
クライミングをやっていて、1番怖い事はなによりも怪我である。これに関しては、他のスポーツでも同じであるがクライミングは一度の怪我の重さは、群を抜いて高いと思われる。また、怪我をしなくてもあらゆるホールドが持てるようになる代償として多くの人は指関節の変形、手首の持病や足の形の変形をきたす。特に子供のような骨がまだ柔らかい方達は、上記のような変形は受けやすい事は想像に難くない。ある程度歳を取れば、「ここまでは攻めても大丈夫だろう」という予測や、「この後はしっかりとケアをしないといけない」などの自己判断も適切に行えるだろう。しかし、これは怪我や変形をきたす前に適切に行えないといけない。つまり、ある程度のクライミング 経験を積み、今の現状がどのような状況でその場合に合った適切な処理を保護者であると名乗るのであればできるようにしないといけない。それができないのに子供にクライミングをやらせてはいけない。
今一度この章の題名となっている『クライミングをするということは、一生治らない傷を負うこと」というものを再認識してもらいたい。
3.私自身が、『楽しいから』登っているから
この記事を読んでいる人は、趣味があるだろうか?もしあるのであれば、なぜその趣味を初めたのか?そして、なぜ今まで続けてこられたのだろうか?多くの人は「楽しそうだから」、「何かの役に立つかもしれないから」という答えが返ってくるだろう。人によっては、親の影響もありそれが日常生活に溶け込んでいたからという方もいるだろう。このように自然な流れや自発的な行動が元でクライミングを習うのなら、このような記事とは恐らく無縁だし、何ら口出しをするつもりもない。
ただ親から促され、そのまま何が楽しいのか分からないし、何に役立つのか分からないようなことをしていると、、子供が思っているのにやらせているのならそれは大きな問題である。上の2章で述べたように、クライミングというものは苦痛を伴う。その上、人生において与える影響というものは極々微量である。すでにクライミングスクールを運営しているところやクライミングジムの売り文句でよく見るのが、「集中力、思考力、協調性」である。確かに、クライミングでこれらの力は身につくかもしれない。しかし、本当にクライミング じゃないとこの力は身に付かないのだろうか?また、クライミングを習うことによって、他のものを習うよりも早くこの力を習得できるのだろうか?と問われたら、全力でNO!と答えるだろう。何故なら、他のスポーツでもそんなのは身につけられるし、よっぽど英語や公文をやっておいた方が今後の人生に与える影響というものは大きい。極論を言ってしまえば、子供はもとより人というものは本当に好きなものをやらせれば自ずと上であげた3つの力というものはつくものである。むしろ、それ以上に得られるものもあるだろう。これを踏まえても、あなたは無理やり子供にやらせますか?
ここからは、かなりものの言い方や考え方が荒くなり読んでいる人が不快に思うかもしれないのでそういうことが苦手な人は、まとめまで飛ばしてくださいm(_ _)m
最近子供をクライミングジムで見かけることが多くなり、これからあの子達がクライミング業界を盛り上げてくれると考えると中々に楽しみだ!と感傷的になる反面、ここはあくまでクライミングジムであり託児所じゃないんだよ、、、と呆れ果てることが大いにある。ぶっちゃけ、お金を払ってジムに来ているのに託児所のように子供が走り回っていたり、意味もなく金切り声を上げているのを見るとジムのスタッフさんは大変だなーと思うし、世の中のク◯親の多さにただ呆然としてしまう。これは、そんな人たちにただ独り言のように語りかけるが、貴方が行った憩いの店でそんなことをされたらキレませんか?
まとめ
なんだかんだ言ってきたが、簡単に述べるならクライミングは楽しくやらないと辛いスポーツなので、無理強いしてはいけませんよということ。決して子供にクライミングをさせてはいけない!と言っているわけではないので悪しからず。クライミングは、単なるスポーツとは違った何かだと思うので本人がやりたいというなら是非やってもらいたいと思う。その奥深さや真髄を少しでも味わえれば、その人の人生を豊かにし人間性の厚みも出てくる。
最後はフワッと終わってしまったが、今回はこんな感じで終わりにしたいと思う。