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うさぎになりたかったくま

昔々、深い森の中にくまきちというくまが住んでいました。

くまきちは心優しいくまでしたが、その大きな体と強そうな見た目のせいで、他の動物たちから怖がられていました。

「一緒に遊ぼう」と声をかけても、みんな逃げてしまい、ただ森を歩いているだけでも逃げられてしまいます。

くまきちはいつもひとりぼっちでした。



「僕がもし、うさぎみたいに小さくて可愛い動物になれたら、みんな遊んでくれるのかな…」



くまきちはそんなことを考えるようになりました。



ある夜、くまきちは不思議な夢を見ました。

夢の中で、くまきちはうさぎに生まれ変わり
森の動物たちと一緒に遊んでいました。

かくれんぼをしたり、おにごっこをしたり
みんなが笑顔で、くまきちもうさぎとして楽しい時間を過ごしていました。

まるで時間が止まったかのように、くまきちは幸せいっぱいでした。


目が覚めると、「夢だったのか…」と少し残念に思いながら起き上がりました。


しかし、その瞬間、くまきちは自分の姿を見て驚きました。なんと、自分がうさぎになっていたのです!


「やった!これならみんなと遊べる!」
くまきちは喜び
動物たちが集まる場所へと急いで走り出しました。



やがて動物たちが集まる広場に到着すると
動物たちはくまきちを見て驚きました。
誰も見たことのないうさぎがやってきたからです。
みんな興味津々に近寄り、くまきちに話しかけました。


「君、誰?名前は?」


「僕の名前はぴょんきち!あの奥の森から来たんだ!一緒に遊ぼう!」


くまきちは本当の自分がくまだったことを隠し、うさぎのぴょんきちとして振る舞いました。



それから、くまきちはぴょんきちとして
動物たちと楽しい日々を過ごしました。

おにごっこをしたり、かくれんぼをしたり
毎日が楽しくて仕方ありませんでした。



ところが、ある日、みんなでご飯を食べている時に
リスがふと思い出したように言いました。

「そういえば、最近くまきちを見ないね。どうしたんだろう?」

それを聞いて、きつねが答えました。
「あんな怖いやつ、いなくてせいせいするよ!」

しかし、リスは首を振りながら言いました。
「いや、くまきちは見た目は怖いかもしれないけど、本当に優しいんだよ。僕がいじめられていた時、助けてくれたんだ。」


他の動物たちも耳を傾け始めました。


「そうそう!山を登れなくて困っていたたぬきのおばあちゃんを、おんぶして家まで連れて行ってくれたこともあるんだよ!」


「くまきちは実はすごくいいやつだったんだね…」


動物たちは次第に後悔し、くまきちを怖がっていたことを反省し始めました。


くまきちはその話を聞いて
自分を見てくれている動物がいたことに気づき
とても嬉しくなりました。



そして、心の中で「もう一度くまに戻りたい」と思うようになりました。



その夜、くまきちは再び夢を見ました。
今度の夢では、くまの姿のまま、動物たちと楽しく遊んでいました。
うさぎの時とはまた違う、心温まる楽しさがそこにありました。



翌朝、くまきちが目を覚ますと、元のくまの姿に戻っていました。
くまきちは急いで動物たちが集まる広場に向かいました。
広場に着くと、動物たちが集まっていて
くまきちを見つけるなり、いっせいに声をかけました。


「くまきち!ごめんなさい!」

「見た目だけで怖がって、勝手に逃げちゃってごめんね!」

「これからは一緒に遊んでくれる?」


くまきちは動物たちの優しい言葉を聞いて、涙を流しました。
「みんな、ありがとう!もちろん、一緒に遊ぼう!」



それからというもの
くまきちは動物たちと毎日楽しく遊び
森は笑い声でいっぱいになりました。

くまきちはもう一人ぼっちではありません。
自分らしさを大切にし
仲間と共に幸せな日々を過ごしたのです。





ー あとがき ー

長女から「動物がいっぱい出てきて、くまが何かに変身するお話しが聞きたい!」というリクエストで、この話が出来上がりました。


文章ができる前に、ざっくり長女に話すと「良いじゃん!」と言われたのが、たまらなく笑えました(笑)


「見かけによらず」って言葉がありますけど
この話はまさにそうですよね。


我が夫も、このくまさんのように見た目は怖い感じなのですが、話せば面白くて、とても優しい人なんです。


関わってみないとわからない


これに限りますね!


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