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るなへのおくりもの

あるところに
るなという女の子がいました。


るなはお友だちをつくるのがとても苦手で
いつもひとりぼっちで過ごしていました。

るなの楽しみは
本を読んだり、花畑に行ってお花を摘んだりすることでした。
でもどこかで「お友だちができたらいいな」
と心の中で思っていました。


ある日
お母さんがるなに言いました。

「どんぐりを拾ってきてちょうだい。」


るなはバスケットを片手に
森へ出かけました。

るなは歌いながら歩いていると
気づけばどんどん森の奥へ進んでいきました。

そのうち道に迷ってしまいました。

「わたし、どうしよう…」
るなは不安になり
涙がこぼれそうになりました。

泣き崩れていると
突然、目の前に
魔法使いの女の子が現れました。

るなと同じくらいの背丈で
歳も同じくらいに見えます。


女の子は不思議そうに言いました。

「どうして泣いてるの?」

るなは答えました。

「どんぐりを拾おうと森に来たんだけど、どんぐりの木を見つけられないし、道に迷ってしまって…家にも帰れなくて、泣いてたの。」


女の子はその言葉を聞いて
驚いた顔から笑顔に変わりました。

「そんなことだったのか!それなら、森の出口を教えてあげるよ!ついてきて!」


女の子はるなの手を取って
どんどん進んでいきました。

るなは驚きましたが
女の子について行くと
あんなに迷っていたはずの道が
あっという間に森を抜けました。

「ありがとう!」
るなはお礼を言いました。

女の子はにっこり笑いながら言いました。

「いいえ!あ、どんぐりの木を探しているんだよね?あなたのお家の裏にあるはずだよ!」


その言葉を聞いて
女の子は足早に森の奥へと消えていきました。

るなはその出来事が本当に現実だったのか
まだ信じられませんでしたが
家に帰ると驚くべきことが待っていました。


家の裏には
なんと立派などんぐりの木がありました!

るなはびっくりして
すぐにバスケットを持って
どんぐりを拾い始めました。

お母さんに拾ったどんぐりを見せながら
今日あった不思議な出来事を話すと
お母さんは優しく微笑みました。


「とても素敵な出会いをしたのね。きっとその子は、るなとお友だちになりたかったのかもしれないわね。」

お母さんは拾ったどんぐりを使って
どんぐりパンを焼いてくれました。

そのパンを食べたるなは
体がぽかぽか温かくなり
心に不思議な力が湧いてくるような
そんな気がしました。


すると思いがけず

「今なら、お話しできそうな気がする…」


と思い立ち
お花畑へ向かうことにしました。


お花畑には
一人の女の子がいました。

るなと同じくらいの背丈で
同じくらいの歳に見えます。

るなは勇気を出して声をかけました。


「一緒に遊ぼう!」


すると女の子は
にっこり笑いながら答えました。

「いいよ!」


るなはその瞬間
自分の中に
温かい気持ちが広がるのを感じました。

初めての友だちができた瞬間でした。

るなは
あの不思議な女の子と出会ったこと
そしてどんぐりの木があったことが
きっとあの女の子からの贈り物だと
思っているそうです。


それから、るなは
お花畑でその女の子とよく遊びました。

彼女たちの間には
言葉を交わさなくても心が通じ合うような
不思議な絆が生まれていきました。

そして
るなはもう一人ぼっちではありませんでした。



- あとがき -

よーやく作品が出せました…。

このお話し
長女が作ったものを
私がアレンジしたお話しです。

本当は
「るなのさがしもの」という
タイトルだったのですが
お話しの内容とタイトルが合わなかったので
こちらでは「おくりもの」に
変えさせてもらいました

長女もお話しを作るのが好きみたいなので
今後も親子で話していきたいな
なんて思っています


〇私の自己紹介〇

〇過去作〇

〇エッセイも書いてます〇

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