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【インタビュー】支援職15年の先輩から「これから支援者になる人へ」
『就労支援』
障害福祉サービスの一種。就職のためにスキルアップと、安定して働き続けるために必要な能力のトレーニングを提供するもの。
今回は、私が利用者としてお世話になっている、就労支援事業所の支援員・お星さんのお話し。仕事・活動で支援者としての立場もある私から、たくさん質問させていただいた。
同じ支援者として学ばせていただく時間になり、薄暗い場所に光が差すような感覚になれた。
これから支援を生業にする人に向けた話や、燃え尽きないヒントが散りばめられた内容になっている。
紹介
お星さん
就労支援事業所の支援員さん。
支援職一筋15年。小学校・通信制高校にて養護教諭として勤務後、支援員に転職。現在、支援員とSSW(スクールソーシャルワーカー)のWワーカー。
ゆめ
ASD(発達障害)・弱視(視覚障害)・不全麻痺(身体障害)・PTSD(精神障害)がある。
現在、社会人(障害者雇用)とフリーランス(福祉関係)のW在宅ワーカー。障害福祉サービス(就労支援)の利用者であり、教育・福祉関係にピアサポーターやボランティアとして関わる支援者でもある。
事業所でのゆめ
〈利用当初〉
支援員すら頼ろうとしない・生活圏がほかの利用者の倍以上の広さ・常に無謀・意思表示しない・敵意や否定を受ける前提の姿勢・年不相応さを感じる瞬間が多い・自分のことを話そうと全くしない・手伝われることを嫌う・どんな言葉も何一つ響かない・・・支援する側の体力・精神力が特に必要な、重い事例。
〈利用4ヶ月目〉
私から、家族の状態や自分の気持ち・自分に起こっていたことをようやく話す。
〈利用6ヶ月目〉
意思表示するようになってきたが、今度はイヤイヤ期が始まり、どんどんわがままに。担当になったお星さんは大変なことに・・・。
〈利用1年~1年半〉
通常よりも多く、実習や見学に行かせてもらい、実現可能な希望が全て叶って落ち着いたかと思えば、就職活動のストレスで大荒れ。
〈利用2年経過〉
利用期限までに就職活動が終わらず、利用期限を迎える前にできる限り応募。選考が全て終わるまでは、面接練習のお願いなど、お星さんに伴走してもらえることに。
お星さんはなにをモチベに、こんなに重い事例を長期間、伴走してくれているんだろうか。燃え尽きないのだろうか。
同じ支援者の端くれとして、知りたくなった。
※お星さんの言葉を、できる限りそのまま載せました。
※解説・補足・以前の会話を入れているところがあります。
インタビュー
『対人支援』への入口
ずっと母親の顔色を伺って生きてきたこともあって、「安定した職に」「地位のある仕事を」という一族からの圧?みたいなものもあって、「支援者の適性はまぁあるんだろう」と、最初は選んだ。
養護教諭の免許をとって最初に勤務した通信制高校で、とにかくハチャメチャな生徒たちと関わった。今でこそ通信制の学校を選択する子は増えてるけど、当時(2010年頃)は特殊な事情があったり、ヤンキーが多くいたり・・・。この時の経験を通して、「対人支援を仕事にしても良いかもしれない」って思った。
普段のリフレッシュ方法
推し活!!!
かっこいいけど、容姿を見て応援しているのではなく、頑張っている人たちを見るのが好き!自分と同世代でアイドルで、とにかく愚直に頑張っている人たちを見ると、自分も頑張ろうって思える!
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支援者をやっていて、うれしいこと
利用者本人が成長すること。
利用者本人が喜んでいる姿を見ること。
支援者をやっていて、弱る(しんどい)瞬間
言葉を尽くしても伝わらないときは「どうしよう・・・」ってなる。でも「この人には、違う言い方をしないといけないんやな」「あ、この辺も配慮が必要ね」って自然となれるから、そこまでしんどくはならへんかな。
ゆめを初めて見た時の所感
支援の歴は長いから、そこまで特別なにか思うことはなかった・・・小学校で養護教諭してた時に見てきた、しんどさを抱えた子たちが、そのしんどさが解決されないまま大きくなってしまったら、こうなるんやろうなって思った。
ゆめの担当になってから
ただ、がむしゃらやった。
「なんで伝わらないの?しんど!!!」とはなったよ。でもそこで、良くも悪くも「私がなんとかしなきゃ」に私はならないから、そこまでしんどくはならなかった。
ゆめさんの成長がどこかのタイミングで必ず見えて、そこでそのしんどさって相殺されるから。
燃え尽きた経験
ない!!!(即答w)
事業所以外での支援者どうしのつながり
SSWで色々つながりができたから、そこでたくさんの人と楽しんでやってる。就労支援がきっかけでつながった方もいて、けっこう面白みあるわ。
SSW(スクールソーシャルワーカー)
問題を抱える児童・生徒を取り巻く環境へ働きかけたり、関係機関等との連携・調整を行ったりする人。
文部科学省が2008年に導入した「スクールソーシャルワーク活用事業」がきっかけで普及。
利用者の担当を決める基準
※お星さんは、ゆめ以外にも複雑なケースを多く担当されていた。
相性と支援者側の線引き力。
関わり方を少しでも間違えたら依存されるような、危うい状態の利用者もいるから、線引きする力は必要やわ。
「男性苦手」言うてはる利用者に、男性の支援員は担当につかせへんし。
あとは療育のような関わりが得意かどうかやね。
療育
障害のある子どもやその可能性がある子どもに対して、一人ひとりの障害特性や発達状況に合わせて、困りごとの解決と将来の自立、社会参加などを目指して行う支援・サポート
養護教諭(高校・小学校)、支援員(18歳以上)、SSW(中学生以下)、それぞれの面白み・楽しさ
小学生は、ただただかわいい。
高校生以降は、具体的にどうしていこうかを考える面白みがある。
SSWは、まだまだ手探り、なんならまだSSW自体が出来てそこまで時間が経っていないけど、子どもの未来を一緒に作っていく楽しさはあると思う。
これから支援者側にくる人へ
とにかく自分自身が楽しく生きる!
それがないのに支援するとか、おこがましいから。今、楽しくなかったとしても、楽しくあろうとできる人が支援者側に来てほしいな。
インタビュー後
ゆめ:
なんか色々ホンマごめん・・・orz
お星さん:
いえいえ( ´∀` )
ゆめ:
私、成長したん・・・か・・・。
お星さん:
そうよ~。
自分では、なかなか分からんもんよね。
ゆめ:
実はね、お星さんへの質問、まとめる前は30個くらいあったのよ。
お星さん:
それは多いわw
質問状を事前に送っといてw
ゆめ:
wwwww
お星さん、ありがとうございました!
お星さん:
はーい(* ´ ▽ ` *)