マンモスは生き返る
#30日間チャレンジ 25日目
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犬のように、無償の愛を捧げられる人になりたかった。
犬はすごい。肩書とかやったこととか、お金とか時間とか、そんなものすべて関係なく、ただそこにあるものとして、存在そのものを抱きしめてくれる。
こちらが何もしなくても、愛情をめいいいいっぱい表現してくれて、打算とかそんな冷めたものを一切感じさせない、暑苦しいほどの愛。まるで彼らは、愛すれば愛するほど、愛し合えると知っているかのようだ。
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できる?そんなこと?僕は人に対して、無償の愛を捧げられないよ。
ずっっっっっと、ずっとずっと好きだと思ってて、これからも好き同士やっていくんだなって、確信していた、あの人がいた。昔付き合っていた彼女。
確かに僕は、愛していたし、愛されてると思っていた。
けれど、それは会わなかった8ヶ月で崩れ落ちる。ああ、つながってなかったんだなって思った。自分だけが熱くなっていて、独りよがりで、愛を押し付けていたんだなと思った。ばかみたいだ。今まで一緒に過ごした時間なんか、無いほうが良かった!!!
そして、とても寂しかった。
何かが、どこかへ行ってしまった。
この事実を受け入れられなくて、信じたくなくて、もう1年待った。
きっと彼女は寄り道しているだけで、またつながり合えるはずなんだ。
だって、愛しているんだもの。あれだけつながったんだもの。
かすかな希望を胸に、生きた。
1年、2年、3年が経った。もう戻らない、そんな現実は、もうすぐそこまで迫ってきた。
気づくと僕は、愛と思い出を冷凍保存していた。彼女とのつながりを、まだつながりであるまま、永久に大事にしまいこんで、自分の中にずっと取っておきたかった。氷漬けにして、もう誰も、自分すらも、手にとって触ることができないようにした。
自分が人とつながり合える、唯一の証。
僕の存在を肯定してくれる、大事な拠り所だ。
僕という小さくて、脆くて危ういお城を支える、数少ない大事な柱。
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それから、いくつもいくつも愛と思い出を冷凍保存してきたけれど。
今まで僕と関わってきた人たちと、また新しく出会った人たちが、温めてくれているのを感じている。
そして実は、氷漬けになった愛と思い出は、熱を放ち続けていた。
It's time to warm.
マンモスは、きっと、生き返る。