「何が好き?」のこたえ

「何が好き?」とか聞かれるとちょっと困る。

食べ物に関して言えば特にそう。例えば、「好きな果物は?」と聞かれたなら、今の自分が好きなのはみかんだ、と答える。

これが、1年前だったら、きっとりんごと答えている。スーパーでりんごを見つけると、まるごとかじってよく食べていた。大学でもシャリシャリしていた。
でも、今はりんごがあまり好きじゃない。あれだけ好きだったのが嘘のようだ。

りんごブームというものが、不定期で訪れる。
第一次りんごブームが来たのは、小学校5年生のとき。ディズニーシーで売っていた小さなりんごを丸かじりして食べた時は、感動すら覚えた。

それから、りんごを異常に食べる時期、たまに食べたくなる時期、むしろ嫌いになる時期など、りんごに対する好きの振れ幅が非常に大きい。

りんごに対する好き度の変化は、時期だけにおさまらない。その時の気分、お腹のへり具合、その他様々な物事の影響を大きく受ける。
りんごを片手に街を歩くイギリス青年を見たときは、もうまるかじりしているだけで幸せになったし、


好きの危うさというか、儚さというか、そういうものを感じる。


これが食べ物のことだけだったらいいのだけれど、そうは問屋がおろさない。人間に対しても、たまに起こったりする。

あのときは佐藤くんのことがとっても好きで、こいつとならずっとやっていける!マブダチだ!なんて思っていたその数カ月後には、あれ?と思うことがよくある。
それだけでなく、逆もしかりだ。あんまり好きじゃなかった加藤くん、というかめんどくさいので避けていた加藤くんは、いまは僕のマブダチになっている(と思っている)。


何となく、これが好きです!あれが好きです!と断言する前に、毎回ほんのすこし躊躇してしまうのだ。

今は確かにこれが好きなんだけど、少し前はそうでもなかったし、明日には変わっているかもしれないし…嘘ではないんだけど、不変でも無いんだよなあ。

だから、僕がなにかを好きですと答えるときは、正確にいうと「今は◯◯が好き(ですけど、もちろんそうでないときもあるし、明日には変わっているかもしれないし、そういうのを前提とした上で、僕が◯◯が好きってことをなんとなく把握していただけたらありがたい)です。」が正しい訳になる。


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