風俗狂のシンプルさ

#30日間チャレンジ 21日目

15分で2万。

ある風俗店の料金だそうだ。

先日、ある派遣バイトに行ったときのこと。建設現場に資材を搬入するといった、典型的な肉体労働。そこで、おそらく長く働いている先輩スタッフが、得意そうに、風俗に支払った金額を教えてくれた。

どうやら先輩は、週に2度お店に通っているらしい。行き始めたのは19歳、それからもう5年以上毎週お世話になっているという。たまの給料日には、高級風俗店に行くこともあるらしい。料金はなんと、120分で6万円。一方、派遣の職場は1日8000円から20000円強。120分のために、3日以上働くなんて。それを5年も続けているなんて。この人はアホなのかと思った。

おれは風俗に行くために働いてるんだ。」そんな言葉を聞いて驚く。もったいないなと思う。そのお金があれば、僕なら大好きなバーミヤン毎日通いつめたり、東南アジアかどこかに行って悠々自適ライフを謳歌できる。何より、一ヶ月ちょっと働かなくても余裕で暮らしていけるのに。

男なら一度は行く。経験として行って損は無い。という言い方は世間ではよくされるが、僕は風俗店に行ったことがない。そういうことに興味が無いわけではないし、何度か行こうか迷ったこともあるが、結局行かぬままだ。

え?なになに?こんなきつい現場で、毎日毎日朝早くから身体を酷使してまで通いたくなるほど、魅力的な場所なの?風俗ってすごいの?経験としていくべきなのかもしれない…。

思い立ったが吉日。人生はタイミング。そんなこんなで、人生で始めて風俗店に行ってきました。詳細をレポートしてみます。

とまあ、こんな流れを想像した方もいるのだろうか。
期待を裏切ってしまったかもしれない。一応謝っておく。風俗はきっとこれからも行かないと思う。

僕がこの風俗狂から感じたことは「シンプルさ」。

風俗に行くために働く。
わかりやすい、と思った。

正直僕は、数十分数時間、一時の快楽のために、派遣労働数日分のお金を費やしたいとは全く全く全く思わない。たとえお金を沢山持っていたとしても、きっと同じだと思う。

別に、風俗に金ばっか使ってコイツあほだな~
なんてことを言いたいわけではない。好きなものは人それぞれ。それに、数年後先輩のように風俗通いの鈴木になっている可能性も、無きにしもあらずだ。未来はわからない。今は興味がないのだけれど。

ただ、風俗のことを得意げに話している先輩の表情は、とてもイキイキとしていた。心に、何の迷いもない。清々しい。自分の気持ちに忠実に生きているんだなと思った。先輩は、誰に言われるでもなく自分の意思で、風俗にお金を使うこと、そしてそのために自分の時間を費やすことを選んでいた。それがすごくすごくシンプルで、わかりやすいなと思った。

「何のために働くのか?」
先輩「風俗に行くため。気持ちよくなりたいから。

「何のために働くのか?」
僕「えーっと、まずは生活するためにお金はないとだめだよね。そうだなあ、自分がどう生きたいか、何を大事にしたいかってのもとっても大事なはず。まだよくわかってないところも多いんだ、だからもっと考えなきゃ。一応無いことは無いんだけどね。でも働くのは大変なこともあるし、家でゆったりもしてたいなあ。この業務内容だと週に3日くらい、1日に5時間くらいが適しているかもしれない。あ、でもまって、そもそも生活するためにお金は必要なんだろうかという問いは残しておきたいよね。うん、いきなり極端はあれだから、最低限のどのくらい必要なのか、生活を見直してみなきゃ…etc」

ある種、動物的な、本能に従って生きているようなシンプルさにあこがれているんだなと感じた、そんな夜でした。



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