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勇気を与えてくれたひと言。 #勝手にコルクラボ

高校1年の頃の担任に言われたひと言は、ぼくにとっては大きな自信と希望になった。彼をヒーローだとは思ったことなかったけど、思い返してみると、自分を変えてくれた一人だった。

定期テストの後、毎回面談をする先生で、そのときは進路について話をしていた。

ぼくの家族や親戚の多くは、福井に生まれ、高校卒業後に就職して、福井で生きているような人間だ。父も母も、大学がどんなところかわかっていなかったし、ぼくが進学校に進んだのも、とても珍しいことだった。
だからぼくも大学に進学するなんて、まったくイメージできていなかった。進学校に入学したとはいえ、とびぬけて勉強ができるわけでもなかったし、福井か、北陸のどこかの大学に進むのだろうと思っていた。
進路調査の紙の志望校の欄には、適当に大学名を書いていた。

面談では、定期テストの点数、志望校、大学でどんなことをしたいのかについて話をした。

ぼくは、科学に興味があった。試験管で薬品を混ぜて、ドーンと爆発し、真っ黒になる…ようなよくある研究の風景におもしろさを感じていた。大学でどんなことを学びたいのかという質問に、「科学の応用研究に関心がある」と話した。

すると、その担任の先生は予想外の一言を、低い声でボソッと言った。
「このままがんばったら、大阪大学に行けるかもしれないな。」
「え、大阪大学って、あの阪大ですか?」
ぼくの質問に、そうだと答えた。科学に興味があるなら工学部が有名な阪大がいいのではないか。そこには、こういうところがあって…と説明してくれた。だけど、ぼくは、そんなことは聞こえていなかった。ほとんど覚えていない。

でも、そのときの感情はしっかりと覚えている。
阪大にぼくも行ってもいいのか。権利があるのか。目指していいのか。目指せるのか。受かる可能性があるのか。
視界が開けたようだった。ワクワクした。身体が熱くなった。

ぼくが、あの有名大学に行けるだなんてまったく想像すらしていなかった。そのひと言は、ぼく自身の可能性を大きく広げてくれるものだった。勇気を与えてくれるものだった。

そこから、どんなに成績が悪くても、志望校は一つだった。受験の年も、ずっと成績が悪かったけれど、あのときのひと言があったから、「行けるはずだ」と、なんにも怖くなかった。むしろ、受験勉強は目標まで積み上げていく過程に思えて、成長していく感覚が楽しかったのを覚えている。

…という経緯で、ぼくは福井を飛び出し、大阪大学の工学部に進学した。
(工学部の多くの学生は、修士まで進むから6年在籍するということを入学式で知って驚いた!)
そして、卒業し、いまは東京で働いている。

1年生の頃の担任の先生とは、2年でクラス替えがあって、2年生以降、ほとんど会わなかった。授業も受けなかった。大学に受かったことすら報告しに行かなかった。

だけど、こっそりと、可能性を広げ、背中を押してくれた、あのひと言を大切にしている。
ぼくも、そういうことを言える人になりたい。
そういうものをつくれる人になりたいと思っている。

(いまは、お前はできるぞって、自分自身に一番言いたいのだけどね…笑)

***

ぼくが参加しているオンラインコミュニティ #コルクラボ では、毎週月曜日に「お題」(質問)が出される。

たとえば、「好き」を深掘りするものや、過去の選択を考えていくもの、原体験など、掲示板に出される「お題」は、お題を出題する人の関心のあることや、考えたいこと、みんなと話したいことが出題される。

コミュニティのメンバーは、専用の掲示板内でその「お題」に自由に答える。「お題」に答えていくことで、自分自身のことを少しずつ知っていく。また、他のメンバーの答えをみていくことで、コミュニティに所属している人が、どんなことに関心があり、どんなことを考えているのかを知るきっかけになる。

 #勝手にコルクラボ は、そのクローズドなコミュニティで行われていることを外のみんなに共有して楽しもうという試みだ。せっかくなので、noteでも答えてみようと書いたのが上の文章だ。

今週のお題は、これだった。

Q.あなたにとっての”ヒーロー”(自分を支えてくれた、支えてくれている人)は?

あなたにとっての"ヒーロー"は誰ですか?

読んでいただき、ありがとうございます!とっても嬉しいです。 いただいたサポートは、読書と映画に使いたいと思います。