映像ディレクターの視点で読み解く映像分析『紅白 藤井風 満ちていく』の1カット撮影
映像ディレクターのyumaです。
今回は、2024年の紅白歌合戦で放送された藤井風さんの「満ちていく」を映像ディレクターの視点から分析します。
1. はじめに
紅白にて、ニューヨークからの生中継。最初から最後までノーカットの1カット撮影。圧巻のパフォーマンスで多くの人々の心をつかみました。
今回の映像ではクリエイター界隈でも騒がれています。
この映像の何がすごいのか。映像初心者、これから映像を始めようと思っている方向けに解説します。
結論、すごいところを一言で言うと、
「1カット撮影を生中継するための、入念な準備がすごい。」
初心者の方は、撮影裏をイメージしずらいかもしれませんが、1カット撮影は、失敗する落とし穴がたくさんあり、シンプルに難易度が高いです。
しかも、これを全国放送のテレビ。視聴率の高い大晦日で披露しています。恐ろしい、、、
2.映像分析・解説
ざっくりと、考えられる落とし穴を紹介します。
それぞれ簡単な説明と、実際にやって見たい人はどうしたらいいのか解説します。
露出とホワイトバランスの調整
通常であれば、撮影を開始する前にカメラの設定を変更できますが、1カットでは基本的に変更できません。
今回の映像では、「室内→屋外→屋上」と、露出(明るさ)とホワイトバランス(色温度)が変わりやすいルートを辿っています。難易度が高く、撮影前の緻密な設計が必要です。
初めての方は、場所と環境を1箇所に絞るのをおすすめします。
初心者の方はオートで撮影するのもありです。
フォーカスの調整
通常であれば、カメラが勝手にピントを合わせてくれますが、規模の大きい撮影だと、フォーカスをワイヤレスで合わせる専門の人がいます。
ピントを外したら最悪クビになる、恐ろしく重大な役割です…
なぜ、オートフォーカスを使わないかというと、演出上意図しない箇所へ勝手にピントが合うことを避けるためです。
1人で1カット撮影をしてみたい方は、カメラのオートフォーカスに頼って大丈夫です。忙しすぎて、そこまで気が回らないと思います。
なるべく、ピントが外れずらい状況でトライしてみてください。
カメラワーク
歩きながら撮影するので、撮影前にどのルートで歩くのか打ち合わせが必須です。そして、カメラマンは被写体を見ながら歩くので必然的に後ろ向きに歩きながら撮影します。
歩きながらの1カット撮影をする場合は、できるだけ補助をつけてください。
どうしても1人でやりたい場合は、周りの迷惑にならない場所や人がいない場所をおすすめします。※自己責任でお願いします。
他にも説明したいことはたくさんありますが、以上の3つを抑えれば、初めての方はなんとかスタートできると思います。トライアンドエラーを繰り返しながら実践してみてください。
3.最後に
余談ですが、撮影前後は天候が悪く、歌い出したら晴れたみたいですね、、藤井風こわい
個人的に1カットが好きで今回の映像は感動しました。
他にも、1カットのMVは多数存在しているので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
映像クリエイターで知らない人はいない、有名な1カットMV。
最高。演出を省けば海で歩くのがベースなので真似しやすいかも。
友達と遊びに行った時でも試せるMV