得点数を最大化させるには

野球の試合に勝つには得点を取ることが必須条件です。

得点数が増えれば増えるほど勝率も上がります。

実際得失点差と勝率は統計的に相関関係にあり、失点を減らすこともそうですが得点を増やすこともペナントレースを制する近道になると言えましょう。

では表題のように得点数を最大化させるためにはどうすれば良いのか。

結論から述べてしまうと、①突き抜けた長打力を保持するor②長打力に限らない打力×機動力のどちらかを作り上げることこそが得点力を最大化させるように思います。

①突き抜けた長打力を保持する

これは極端なことを言うと1~8番までを、20~30本以上ホームランを狙えるような打者で構成することです。

思い浮かぶのは史上最強打線と呼ばれた2004年巨人でしょうか。

文字通りどこからでもホームランが期待できる打線で、ラビットボール時代だったことも相まって、シーズンのチームホームラン数の日本記録を更新するほどの破壊力でした。

内訳を見ると、20本塁打以上の選手が6人おり(ローズ・小久保・阿部・由伸・ペタジーニ・仁志)、総本数は259本を数えました。

今の時代ではチーム総数で150本打てばかなり多い方ですから、異常な数字と言っても差し支えないでしょう。

得点数もリーグトップの738点を記録し、DH制のあり三冠王の松中や城島らを擁するダイエーとほとんど同数の得点数(739点)を記録していることから、その得点力の凄まじさが分かります。(球場の違い等を考慮する必要はあるでしょうが)

しかしこの得点力をもってしても、シーズン順位は3位に終わっています。

チームホームラン数リーグ最下位の111本で得点数もリーグ5位の中日にリーグ優勝をさらわれたのは何とも皮肉ではありますが。

優勝を逃した要因としては、投手陣(特にリリーフ陣)の崩壊と超打高のため得点数で相対的優位を作りづらかったことでしょうか。

よくこの年の巨人を引き合いに長距離砲ばかり固めては勝てないと揶揄されますが、上記の要因により勝てなかっただけで長距離砲で打線を固めては勝てないことの証左にはなりえないでしょう。

シーズン勝つには単に得点力を上げるだけでなく、失点も抑えて接戦を勝ち切るリリーフ陣が必要ということですね。

少し話が逸れましたが得点力を高めるのに、突き抜けた長打力を保持するのは決して間違いではないでしょう。

ただこれほどまで長距離砲を集めることは現実的ではなく、かなり難易度の高いチームの作り方です。

②長打力に限らない打力×機動力

これは長打力の有無に関わらず打率が高かったりOPSが優秀な選手を並べ、かつ機動力で揺さぶっていく形です。

具体例を挙げるとここ数年の広島や西武がまさにこれでしょう。

昨年の広島を例に取ると、チーム総得点は736点を記録し、上記の2004年巨人とほぼ変わらない得点数を叩き出しています。

2004年辺りよりは間違いなく投高打低傾向が強まっているので、この得点数は驚異的です。

チームホームラン数も152本を記録しリーグトップですが、2004巨人と比べたら100本ほど少ない数字ですので、更に驚異的な数字と言えましょう。

なぜここまでの得点数を叩き出せたのかと言うところですが、打力はありながらも様々なタイプの選手がスタメンに名を連ねているというのが大きいように思います。

長距離型のエルドレッド・鈴木誠也、中距離型の菊池・丸・松山・會澤、短距離型の田中・安部とバランス良く各タイプの選手がスタメンに入っています。

様々なタイプの選手がスタメンに入ることで相手チームのスカウティングから煙に巻きやすくなり、同タイプを並べるより打者が力を発揮しやすい環境が整いやすいように思います。

それに加え機動力を使える選手が多いのも一つミソです。

機動力が使えることにより勝手に相手が意識して配球が偏ったり、一三塁の状況が作りやすくなるなど攻撃しやすい状況を生み出してくれます。

盗塁を決めることだけが機動力ではなく、むしろこのように走塁面で相手をかき乱す方が機動力の効用が大きいように思います。

打力×機動力で様々な攻撃パターンを取ることができ、得点力が増すのでしょう。

ただあくまで打力ありきの機動力で、機動力だけ先走っても得点力はまるで上がりません。

それは過去の広島が証明しています。

広島は一時代を築いた1970年代後半から1980年台後半くらいまでも、この打力×機動力による高い得点力で他球団に対するアドバンテージを取っていました。

しかしいつの日にか機動力ばかりがフィーチャーされるようになり、2000年代後半から2010年代初頭までは得点力不足で悩むようになります。

球場が広くなりその適応に時間がかかったということもあるでしょうが、それだけでなく機動力の過信は間違いなく得点力不足に影響を与えていたと考えます。

1~3番が東出・天谷・赤松で組んでいた時期とかありましたからね。

確かに選手はいなかったとはいえ暗黒しか感じませんね(笑)

広島の過去の野球も現在の野球も決して「機動力野球」ではなく「打力×機動力野球」ということを肝に銘じて置かなければなりません。

また話が逸れてしまいましたが、①よりも②の打力×機動力の方がトータルでは得点を最大化しやすいように思います。

ただ機動力が一人歩きしないように打力がありきであることは常に意識しておく必要がありますが。

ここまで得点力の最大化について述べてきましだが、大元の条件として野手陣のメンツがきっちり揃っていることがあります。

ですので、まずは見込みのある野手を取ってきてそれを戦力へと仕立て上げることができるという前提を作り上げないと成立しないことを忘れてはなりません。

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